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誘拐事件まで疑われた行方不明の4歳児が無事に見つかったのは9歳の男の子が咄嗟に感じた直感のおかげだった その一連の行動と心遣いに称賛の嵐

好奇心いっぱいの子供は、外出先などで興味をひくものや目新しいものがあれば、親御さんの意思とは関係なくどんどん進んでいってしまうもの。子供の行動範囲は、歩き始めるとはるかに広がり、小さいからと言って油断はできません。ちょっと目を離した隙にどこかに行ってしまい、迷子になり大慌てしたなんて経験がある方もいるのではないでしょうか。

2021年3月、東京都心のある公園で4歳の男の子が迷子になってしまいました。お昼過ぎから母親と公園に遊びに来ていた男の子でしたが、公園には植え込みや樹木も多く、母親は子供の姿を見失ってしまったのです。

母親から110番通報を受けた警察は、誘拐事件も考慮して警察犬も動員、40人態勢で捜索に当たりました。しかし、手がかりが掴めないまま時間だけが過ぎ、捜索に当たった警察関係者の中には、事件や事故に巻き込まれているかもしれないと焦りがつのり始めたそうです。

捜索から2時間が経過し辺りが暗くなり始めた頃、男の子が発見されたとの一報が。焦りは安堵に変わったのです。男の子を発見し、交番に連れてきてのはなんと小学校4年、名郷根(なごうね)景くん(当時9歳)でした。

景くんは公園からさほど離れていない場所に住んでおり、自宅前で偶然不安そうにたたずむ男の子を見かけたと言います。その時景くんは、とっさに「彼は迷子だ、自分が声をかけなかったらおお事になるのでは」と直感。日頃から親に「良いことをしたら、良いことが返ってくるよ」と教えを受けていた景くんは、この男の子を助けようとすぐさま思ったそうです。

突然声を掛けては怖がってしまうかも…と思い「怪しい人じゃないよ」と優しく声を掛けたそう。その後、景くんは男の子を約500メートル離れた交番まで無事に送り届けたんのです。学校の授業で近くの消防署を訪れた時、彼は交番の場所もその時に一緒に確認していたと言います。交番までの道中、景くんは男の子の不安を取り除くために、じゃんけんをして遊んだり、「どんなご飯が好き?」といった声掛けもしていたそうです。

行方不明になってから3時間、親子は景くんの咄嗟の行動と判断で無事再会することができたのです。この景くんの勇敢な行動に、管轄の警察署は感謝状を贈呈、「これからも、その優しさと勇気を忘れないでください」と激励の言葉を送りました。

景くんは表彰された際、「子供が迷子になっているのを見かけたら、警察官や助けにくる人が来るまで、子供はその場にずっといない(すぐにどこかへ行ってしまう可能性がある)ので、勇気を持って(声を掛けに)いった方がいいと思います」とコメントしています。

困っている人を見つけたら、誰もが助けたいと思うのは同じ。しかし、その思いとは裏腹に、実際に行動に移すのは簡単なことではありません。男の子とお母さんの再会に「めちゃくちゃ嬉しい」と喜ぶ景くん。親御さんの教えを心に、困った人がいたら助ける事を躊躇せずに実行した彼の行動は、9歳とは思えないくらい素晴らしいものでした。

大人の私たちが見知らぬ小さな子供に声を掛けるのは、たとえその子が迷子であったとしても、「子供に怪しい人間だと思われるのでは」という不安や、また周囲から不審者扱いされる可能性もあるため、非常に難しいというのも事実です。そのため、私たちは往々にして見知らぬ人を助けることに、つい躊躇してしまいがちです。

周囲の目が気になったり、個人主義が進んだ現代社会では、助ける手を差し伸べることが難しい社会になってしまっているのかもしれません。でも、優しさはいつの時代でも、人の心を癒し温めてくれるものです。一人一人が小さな思いやりと勇気を持ち、互いを助け合えるような社会にしていけたらいいですね。

子供の迷子に関する、以下の記事も併せてご覧ください。

プレビュー画像:©︎Facebook/Nagone Shu