【 ほぼ初対面でいきなり夜這い】華麗で優雅と思いきや…想像以上にシュール!カオスに満ちた平安貴族のリアルライフ中編

前回の続き(前回をご覧になっていない方は【 気になる姫がいたら とりあえず覗き見】華麗で優雅と思いきや…想像以上にシュール!カオスに満ちた平安貴族のリアルライフ前編からどうぞ)

大納言の二の姫が美しく和歌も上手との評判を聞いて、興味津々で垣間見(覗き見)に来たA氏。腹心の乳兄弟を連れてお忍びで、あわよくば姫の姿を見てみたいと垣根の間から屋敷を覗くA氏。怪しい、怪しすぎます…

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・雅な恋のきっかけ?!「覗き」で始まる平安貴族の恋

現在ならば変態扱い即通報案件な許しがたい覗き行為ですが、当時は恋愛のきっかけとしてごくスタンダードな行為。覗き行為を目撃されても「覗き魔」呼ばわりされたり変質者や犯罪者扱いされることはありません。平安時代の高貴な貴族女性は肉体関係を結ぶまでは男性の前に顔を見せないため、貴族の恋愛の多くはまだ顔も知らぬ女性の評判手紙の筆跡や内容御簾越しの雰囲気などから勝手に妄想をたくましくして恋心を募らせアプローチを重ね、初夜へと漕ぎつけていくのです。上流貴族の大納言家の姫ともなれば肉体関係=結婚、火遊びの相手としてうかつに手を出すわけにはいかないので、正式に恋文を出す前に顔かせめて雰囲気だけでも確認しておきたかったのでしょう。

平安貴族の恋の基本アプローチ方法はズバリ恋文。しかも五七五七七の和歌に想いを託して贈る雅な求愛方法です。が、和歌のセンスが問われ、あからさますぎると「ダサっ。なにこのセンス」と一方的にダメ男認定されフラれてしまうのです。最初は恋文をガン無視されるか、お付きの女房(侍女)が代筆したそっけない返事ですが、懲りずに恋文を贈るうちに姫から自筆の返事をもらえるようになれば脈ありのサイン。さらにやりとりをつづけ、御簾越しに対面したり女房の手引き寝所に忍び込む…という流れです。

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・初デートでいきなり夜這い?!超肉食な平安貴族の恋愛

ほぼ初対面同士でいきなりの夜這い、現代の感覚ではありえないドン引き案件ですが、平安貴族の間ではごく普通の恋愛のあり方でした。三晩続けて通いお互いに文句がなければ「三日夜の餅」を食べて結婚成立。晴れて夫婦に、というわけです。もちろん、女性の親が事前に恋文の内容や男性の身分・官位などを厳しくチェック、複数の求愛者の中から婿としてふさわしい相手を絞り込んでいるため、夜這いに関しても親は了承済み、あるいは親が吉日を選び御膳立てしているケースがほとんどです。実の親が夜這いをアレンジ…現代なら絶縁レベルのパワーワードですね。

ちなみに自由恋愛なイメージの強い平安貴族ですが、上流貴族の結婚は親同士が決める政略結婚が多く、有力な婚家のバックアップを得て出世栄達するためにより良い条件の相手との縁組が望まれました。

当時、貴族の結婚は当人以上に家族にとって一族の繁栄に関わる超重大案件。そのため、より良い条件の婿を迎えるため、仕える女房も積極的に姫君を称賛する噂を積極的に流しました。尾びれどころか胸びれまでついた噂に惑わされ、恋文や御簾越しの対面で大いに盛り上がり、夜這いで初めて顔を見て噂と違いすぎてビックリ! 茫然自失したまま断りきれず結婚…なんて事態も決して珍しくはなかったようです。

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・姫君の良い噂を身内が流して好条件公達ゲット

女房ら身内による誇大広告か否か、噂の真偽を確かめたかったA氏ですが…やはり上流貴族の姫、当時の上流貴族女性の例に漏れず無用心に人目につく場所に出ることはありません。平安時代の貴族女性は家族以外の男性に顔を見せることはなく、軽々しく顔を見せたり言葉を交わすことは大変はしたないこととされていました。「深窓の令嬢」の文字通り、高貴な女性は外部からは覗き見ることのできないお屋敷の奥深くに暮らし、うかつに男性に垣間見られることのないよう厳重にガードされていたのです。

外から見えやすい廂(ひさし)の御簾の近く寄ったり、庭から見えやすい御簾越しにいるだけで、軽々しい女性と見なされ、御簾ごしに対面する場合もうっかり顔が見られることのないよう扇で顔を隠すのが奥ゆかしい女性の振る舞いとされていました。

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・ゲスの極み?!部下を使って相手の侍女を籠絡!

もちろん覗き魔、じゃなくてA氏もそのことは重々承知の上。むしろあっさり姫の姿が拝めたら、未来の妻候補としての資質に問題アリです。仕方がないので腹心の部下経由で姫のお付きの女房に頼み込み、庭を眺める口実で姫を廂に誘い出してもらい覗き見るチャンスを作ってもらおうかな…などと帰りの牛車の中で考え中。「将を射んと欲すればまず馬から射よ」の発想でまずは部下を使って相手の侍女を籠絡させる手口、現在ならドン引きですが当時はよくあること。お目当の姫を落とすため、イケメン部下を使い色恋仕掛けでお付きの女房を手懐け仲を取り持ってもらう…なんてゲスな手口もありがちでした。

親の知らぬ間に姫に変な虫がつかないよう、上流家庭では姫に仕える女房は信頼のおける人物であることが大前提。女房の手引きで一族の出世栄達の足掛かりにもならないような見分不相応な相手と娘がうっかり結ばれてしまうことがないよう、身元も確かで教養と人格が備わった下流・中流貴族出身の女性を女房として雇っていました。

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二股三股は当たり前!プレイボーイは平安公達の鏡?!

お勤めに関してはサボり疑惑が否めないA氏ですが、恋愛に関してはフットワークが軽いようです。しょうもない遊び人貴族…と思いきや、平安時代は夜這いから恋が始まるような自由恋愛の時代、一夫多妻、二股三股は当たり前な男性社会。恋多きプレイボーイは浮気男と非難されるどころかむしろ称賛の的、スマートに恋愛をたしなむことも「デキる貴公子」の条件の一つだったのです。愛妻家として知られた藤原頼通は父の道長から「妻は一人だけなどと、愚かなことを言うな」と叱責されています。

さて、これまで幾度か気になる姫に恋文を贈ってきたA氏ですが、和歌と字に自信がなく代歌や代筆に頼ってばかり。以前恋文を贈った姫に代筆・代歌なのがバレてこっぴどく皮肉られたので、「さすがに歌の勉強をもっと頑張ろうかな」とぼんやりと考えていると…牛車が急に止まり、従者たちが騒いでいます。

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・投石に暴力沙汰…意外と血の気の多い平安貴族

どうやら牛車めがけて投石があったようです。ある名の知れた有力貴族の邸宅の門前を通り過ぎようとしたところ、牛車に乗ったまま挨拶もなく通過することに対して立腹して従者を使って石を投げさせたのでしょう。普段は見るからに上流貴族丸出しの高価な牛車に乗っていますが、今回はお忍びなので敢えて質素な牛車を選んだがゆえに「身分の低いくせに、挨拶もなしか!」と嫌がらせを受けたのです。「あいつ…うちの親族よりも官位が低いくせに…父君と叔父君に言いつけてやる!」そそくさと邸宅前を通過する牛車の中で親族パワーを使って復讐を誓うA氏。

優雅なイメージの強い平安貴族ですが、牛車への投石トラブルや賀茂祭などでの見学場所の取り合いなど、従者を使っての揉め事や暴力沙汰は日常茶飯事だったようです。「源氏物語」でも源氏の正妻葵の上六条御息所が賀茂祭で場所争いを繰り広げる有名なシーンがあります。粗暴な従者たちを使って他人の家に殴り込み、嫉妬にかられた先妻が後妻宅を襲撃…なども決して珍しいケースではありませんでした。優雅なイメージのある平安貴族ですが、なかなか血の気の多いエキサイティングな日常を送る貴公子・淑女も多かったようです。

ちなみに平安貴族の乗り物である牛車の平均速度は時速約3キロ。遅っ!歩いた方がよっぽど速い。まったり雅な移動手段です。

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・病気は物の怪の仕業?!平安貴族のビックリ療法

覗きや夜の宴などで充実した日々を送っていたA氏ですが、突然高熱を出して寝込んでしまいます。倦怠感から悪寒、関節の痛みに高熱…明らかにインフルエンザの症状ですが、平安時代にインフルエンザの概念などないため、「謎の病」扱いです。2日続けての高熱に心配した両親が医師(くすし)を手配してくれました。医師は当時、国の機関であった「典薬寮」に属す官僚であり、彼らの治療を受けることができたのは位が五位以上の上流貴族に限られていました。

しかし、心配性の両親は医師の治療だけでは心もとない、と加持祈祷を依頼。当時、病気の原因は怨霊のしわざと信じられており、病人が出ると加持祈祷で怨霊や物の怪を退散させることが最も有効な治療方法だと信じられていたのです。医療薬の内服よりも験者による加持祈祷の方がはるかに重要視されており、政権争いなどで恨みを買う機会の多かった上流貴族は呪術や祭祀をおこなう陰陽師に怨霊や疫神の退治を依頼することもありました。

以前、高貴な未亡人に興味本位で言い寄りしばらく付き合ったのち、飽きて他の姫に心変わりしたA氏。彼女の邸宅を訪れることもめっきりなくなり、ひそかに自然消滅を狙っていたところ、最近になって彼女から届いた恨み辛みの手紙を思い出し、「まさか彼女の生き霊が?!」と、ちょっと不安になります。

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インフルエンザで寝込んだA氏、もしかしたら生き霊の仕業かもとちょっと不安…果たして無事に回復するのでしょうか? 続きは続編の【 垢だらけで激クサ&超不潔!】華麗で優雅と思いきや…想像以上にシュール!カオスに満ちた平安貴族のリアルライフ後編でお楽しみください!

プレビュー画像: ©️pinterest/hobbytimes.jp

 

出典

mag.japaaan.com

ameba.jp

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