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トリビア

【 気になる姫がいたら とりあえず覗き見】華麗で優雅と思いきや…想像以上にシュール!カオスに満ちた平安貴族のリアルライフ前編

平安時代、それは日本の雅な王朝文化が花開いた優美で華麗なる時代。上流貴族を中心に華やかな宮廷文化が優雅と洗練を極め、独自の仮名文字が発明され「源氏物語」や「枕草子」など、宮廷生活を舞台にした優れた文学が誕生し、後世に大きな影響を与えました。

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和歌や絵巻に見られる当時の洗練された華やかな貴族生活は今なお多くの人々の心を捉えています。

「和の雅」が隆盛を極めた平安時代は言わば、日本史で最も風流な時代。とはいえ、優雅な平安貴族たちのリアルライフは現代の感覚から見るとかなりシュールカオスに満ちたものだったようです。

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平安貴族の日常生活はどのようなものだったのか?当時の高貴な人々のスタンダードな生活に迫ります。

平安上流貴族あるあるのモデルとなってもらうのは、平安貴族の中でも上流貴族に生まれた設定の架空の人物、藤原A氏。父方と母方の祖父は元摂政と太政大臣、 2人の叔父は関白と左大臣、父親は内大臣と超上流の名門貴族家庭に生まれたサラブレッド公達なA氏。本人がよほどのポンコツかスキャンダルを起こしたり、あるいは一族が謀反などを起こして没落しない限り、将来の出世栄達は約束されたも同然のエリート貴族です。有力な上流貴族の子弟の例に漏れず、元服すると同時に従五位下に叙され、現在は近衛少将と順調に出世街道を進んでいます。

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・超朝型!平安貴族の朝はめちゃくちゃ早い

平安時代、宮中に出仕する貴族の朝は早く、開諸門鼓という太鼓の合図と共に午前3時から4時くらいに起床します。しかしそれは宮中の掃除をしたり、格子をあげたりする雑用担当の下級中級貴族の場合。下級・中級貴族たちは、2度目の太鼓が鳴るまでの45分間に大急ぎで洗顔や身支度のほか、祈祷や占いを済ませ出仕(出勤)の準備をしました。起床時間の早さにビックリですが、電気のなかった時代、貴族だけでなく庶民も夜明けとともに起床、16時ごろに夕食を食べて、日が暮れると就寝するのが一般的でした。

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しかし上級貴族のA氏は日が高く昇ってからゆっくり出仕。もうすでに出世街道の上がり付近にいる叔父や父親は昼ごろに宮中に出仕して2時間くらい会議して帰宅、なんてのもザラです。天皇のお世話などで朝から晩まで宮中で多忙なシフト勤務を送る殿上人の中流貴族を尻目に、上流貴族は午後には退出。和歌などの文芸を磨いたり、友人と蹴鞠に興じたり、屋敷に招待しあったり…と優雅なフリータイムを送っていました。

午後は遊び三昧!羨ましい限りですが、実際のところ貴族の遊びは社交儀礼につながっており、社交的に遊びこなせない人は無粋とされ宮中社会を生き抜く上でスマートに遊ぶセンスと教養が不可欠でした。退勤後はとっとと自宅に引きこもって趣味の世界に没頭したいのが本音の非リア充貴族も絶対いたはず…生き生きと雅なソーシャルライフを満喫しながら人脈作りと派閥構成に精を出すリア充貴族を横目に、「面倒くさっ」と思いながら渋々参加していたのでしょうか。ちょっと気の毒。

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・「悪い夢みたから休みます」夢見が悪いと欠勤?!

さて、眠たい目をこすり寝所から出たA氏ですが…出勤準備?と思いきや、今日は夢見が悪いから宮中には出仕しないそうです。「悪い夢を見たから、今日は仕事休みます」まさか、サボり…? 当時は夢は神仏からのお告げや異世界からのメッセージと受け止められていました。悪夢や不吉な夢は災難の前兆とされ、運悪く夢で見た場合は自宅に引きこもり来客とも会わずにすごす「物忌」や縁起の悪いとされる方角を避ける「方違え」をすれば、災いから身を守ることができると信じられていたのです。

また、夢で政治に関するお告げがあったと主張して政治的にゴリ押ししたり、枕元で昇進を約束された…などと夢を口実に政治や出世に利用することも多々ありました。うっかり天皇の住まいである内裏が燃える夢など見たと言おうものなら、「内裏を燃やそうとしている謀反の心あり」などと政敵に揚げ足を取られかねないため、不吉な夢に関する発言に関しては多少注意する必要があったようです。

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昨夜遅くに夜遊びから帰ってきたA氏、夢見の真偽は定かではありませんがどうやら今日は家でゆったり過ごすようです。ちなみにかの藤原道長が書いた日記「御堂関白記」にはサボりと疑わしき夢見欠勤の記述がチラホラ見られます。

先週は出勤途中、屋敷を出てすぐの道に犬の死骸があり「穢れ」があったからと、欠勤。さらに先々週は占いで不吉の兆候があったからと欠勤しています。なんだかやたらと欠勤の多いA氏ですが、仲の良い姉が昨年入内して帝の寵愛を受けているので多少サボり疑惑を持たれても平気なのかもしれません。

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さてサボり、じゃなくて夢見欠勤の3日後、A氏の姿は大納言の屋敷のある路地にありました。大納言の二の姫が美しく和歌も上手との評判を聞いて、興味津々で垣間見(覗き見)に来たのです。腹心の乳兄弟を連れてお忍びで、あわよくば姫の姿を見てみたいと垣根の間から屋敷を覗くA氏。怪しい、怪しすぎます…

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他所様の邸宅を勝手に覗き見する不審者A氏。この後の展開はいかに?!

続きは続編の【 ほぼ初対面でいきなり夜這い】華麗で優雅と思いきや…想像以上にシュール!カオスに満ちた平安貴族のリアルライフ中編をお楽しみください!

プレビュー画像: ©️pinterest/hobbytimes.jp