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可能性を閉ざさないで!ダウン症の22歳男性が世界で最も過酷な「アイアンマンレース」を完走

アメリカ・フロリダ州に住む22歳のダウン症の男性が、世界で最も過酷と言われる「アイアンマンレース」に挑み、見事に完走を果たしたことが話題となっています。泳ぎ、自転車を漕ぎ、そして走って総距離226kmを戦い抜くアイアンマンレースの完走。この偉業により、彼はギネスブックにも登録されました。彼の名前はクリス・ニキッチ。

クリスは、1999年6月10日にダウン症で生まれました。生まれて間もない頃、医師は少年の両親に、車いすでの生活になるだろうと告げます。医師だけでなく、周囲の多くの人が、クリスのこれからの人生で待ち受ける困難についてさまざまな予言をしてきたといいます。でも、父親のニックはこうした予言を信じませんでした。

父ニックはインタビューでこう語っています。「クリスが生まれたとき、医師から『この子は将来自分で靴紐を結ぶことすらできないだろう』と言われたんです」その予言を裏付けるかのように、筋力が弱く虚弱体質だったクリスは、他の子どもたちが走り回っている3歳の頃にまだ歩行器が必要でした。その後も周囲からは常に「できないこと」を指摘され、可能性を否定される日々が続いたといいます。

 
 
 
 
 
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それでも、クリスの家族は彼の可能性を閉ざそうとはしませんでした。姉のジャッキーは、自分の好きなバスケットボールを弟に教え、自分を超えろと繰り返し励ましました。両親もクリスが興味を持った活動にはなんでも挑戦するように背中を押したといいます。

スポーツに興味をもったクリスは10代前半に障がい者のためのスペシャル・オリンピックスの短距離走やバスケットボールに出場するようになります。そして20歳になったクリスは、2019年11月から父ニックとともにアイアンマンレースを意識して、トレーニングを開始しました。

「2019年11月に腕立て伏せ、腹筋、スクワットを始めました」と21歳のクリスはインタビューで明かしています。

 
 
 
 
 
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父ニックは、周囲の予測をくつがえし、本物のスポーツマンに成長した息子をこれ以上ないほど誇らしく思っています。

「小さい頃のクリスは体が弱く、常に何らかの病気を抱えており、私たちが守ってあげなければならない存在でした。それが今ではアイアンマンレースに出場するようになったのです」

しかし、アイアンマンレースへの出場は、筋力低下症を抱えるクリスにとってこれ以上ないほど大きな挑戦でした。「鉄人」を意味するアイアンマンになるという目標を胸に、1日3時間、週6日のトレーニングをあきらめずに続けました。

 
 
 
 
 
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トレーニングを開始してからちょうど1年後の2020年11月9日、クリスはダウン症の参加者として初めてアイアンマン・フロリダ大会に挑みました。「鉄人」と認められるには、17時間という制限時間以内に、3.8km泳ぎ、180kmを自転車で走り、最後に42.195kmのフルマラソンを走りきらなければなりません。総距離は226km。世界で最も強靭なアスリートでさえ限界に挑戦しなければ達成できないチャレンジです。それでもクリスはひるむことはありませんでした。強靭な精神力を発揮し、16時間46分9秒でゴールし、家族や観客、他の参加者からの大きな大きな祝福を受けたのです。

この偉業により、クリスは、ダウン症の人で初めてアイアンマンレースを完走した人物としてギネス世界記録も樹立しました。

 
 
 
 
 
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彼は確かにスポーツの歴史に名を残しました。しかし、それよりももっと重要なのは、ダウン症であってもその人の能力を決して過小評価してはいけないということを全世界に示すことができたということです。彼自身、アイアンマンになった直後のインタビューで「ダウン症であっても、どんな困難にも立ち向かえることを証明するのが僕の役割」だと答えています。

 
 
 
 
 
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どんなに可能性を否定されても、大きな夢を抱き、希望を捨てずに走りきったクリス、その姿に背中を押される人は多いことでしょう。彼の偉業に心からの拍手を送りたいと思います!

クリスのように、ダウン症であっても、社会で生き生きと活躍する人が増えています。以下の記事も併せてご覧ください。

プレビュー画像: ©Instagram/chrisnikic