スカートを履いて登校し退学になった男子生徒|しかしスペイン全土であるムーブメントを巻き起こす

ここ数年でネットなどで盛んに耳にすることが多くなったフェミニズムやLGBTQ+運動という言葉。 共に社会における性による偏見や差別をなくすこと、多様な生き方への理解が求めてられています。そのような中で、日本でも最近では中学や高校において性別によらずスカートやズボンを選べる「制服選択制」が登場するなど、子供が性別による「らしさ」の押し付けから自由になれるような動きも出てきています。

昨年11月スペイン北部の都市ビルバオに住む15歳のミケル・ゴメスさんは、スカートを履いて学校へ登校。他国でのフェミニスト運動やLGBTQ+をサポートする運動を見て応援したい、という思いを持っての行動でした。

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しかし、彼の姿を見た学校側は彼を授業中に連れ出し、精神科医の元へと送ったのです。さらに事態はそれだけでは収まらず、ミケルさんは退学処分を受けてしまうことに。ミケルさんはこの一連の流れをTikTokに投稿。「全てを語る時間がなかったけど」としつつ、実際何が起こったかを説明しています。

@mikelgmz

No me daba tiempo a contarlo todo☠️#parati

♬ original sound - Mikel Gómez

以下、ミケルさんの投稿内容です。

「学校にスカートを履いて行きたくて、友達にスカートを借りました。他の国で男性がスカートを履いてフェミニスト運動をサポートしているのを見て、同じ事をしようと思ったんです。僕はスペイン北部に住んでいて、その日は寒かったのでスカートの下に黒いズボンを履いて行きました。でも学校に到着したら教室は暑くて、ズボンを脱ぐことにしました。黒いスウェットトレーナーとスカートのみという格好に。

ただスカートを履いているというだけで、クラスの中で注目をされましたが特に彼らが何を思おうと気にしていませんでした。他のクラスメートにスカートを一緒に履いてくれないかと聞いていたら、案の定みんなこちらを見始めて何やら話し始めたんです。

その後、数学の授業中に連れ出され精神科医の元に連れて行かれました。精神科医に『調子が良くないのでは?』と聞かれたので、僕は男だけど教室が暑かったからズボンを脱いだ(スカートになった)だけです、なぜクラスの女子がスカートを履いても何も問題にならないのに、僕が履いたらこんな大騒ぎになるのか?と答えました」

この投稿を見た同年代の生徒の多くがミケルさんに共感、そして学校側への抗議の意味も兼ねてスカートを履いて登校するという動きがスペイン全土に広まっていったのです。

@nattaalii14

@mikelgmz 🤩 #4n #4noviembre #falda #fypシ #paratii

♬ because it hurts - 🤌🏼🤌🏼🤌🏼

#服に性別はない」というハッシュタグもつけられ、スカート姿の生徒らの写真が数多くSNSに投稿されました。

しかし、ミケルさんに共感したのはミケルさんと同様の生徒だけではなかったのです。この一連の騒動を見た他校の数学教師、ホセ・ピニャスさんはスカートを履いて教壇に立つ姿をTwitterに投稿。

「20年前、私は高校生の時に自分の性的指向を理由に差別やいじめに遭いました。多くの教師は見て見ぬふりをしていました。スカートを履いて登校したことで精神科医に送られ、退学処分にされたミケルのために、私もスカート履いてこのムーブメントに参加します。#服に性別はない」

自身の辛い体験と共にミケルさんへの共感と学校への抗議、そして教師となった今、生徒たちに多様性への寛容と尊敬を訴えたのです。

そしてこの運動は決して一時のものではありませんでした。今年5月初め、スペイン北西部のバリャドリッドの小学校で2人の教師はスカートを履いて授業をすることに。事の発端となったのは小学校で起きたいじめ事件がきっかけでした。あるアニメのキャラクターがプリントされたトレーナーを着た男子児童が、同級生から同性愛嫌悪的な差別用語で罵られ、トレーナーを脱いでしまうという事態が発生、この児童を救うためにマヌエル・オルテガさんとボルハ・ベラスケスさんの2人の教師は立ち上がり、尊重や寛容と言ったものがどうゆうものかを児童に教えるため、1ヶ月間スカートで登校することに決めたのです。

「学校は、互いに尊重することや多様性、互いに学ぶ姿勢、そして寛容さを教える場です。好きな服を着よう!私たちもこの運動に参加します #服に性別はない」

マヌエルさん、ボルハさん両教師は、子供たちに家庭や社会で無意識のうちに植え付けられた偏見を打ち破る方法を教えていると言います。現地新聞のエルパイスによると、彼らは子供たちに言葉が時に人を傷つけてしまう事、そのため(現状を)変えて行かなくてはいけないということを教えたかったそうです。

また、服に性別がないことだけではなく、男性が台所に立つことやロングヘアであることが問題ないように、女性がサッカー好きで短髪であることも全く問題ない、と言った様々な点におけるステレオタイプに縛られない考え方も伝えています。2人の教師の思いは子供たちの間に徐々に伝わり、少しずつ行動や言動に変化が起きているそうです。

古くからある男らしさや女らしさという価値観で二分されてきた社会を変えていくため、近年盛んになっているフェミニズム運動やLGBTQ+運動。これらの運動は決して当事者のものだけではありません。知らないということは、無意識のうちに何かを隠したり、排除してしまったりすることにつながってしまうことがあります。

今回ミケルさんの行動を発端に始まった教師たちが取った一連の運動は、まさに「知ることで見えてくる世界」を子供たちに実際に見せ、多様性に富んだ社会で一人一人を尊重し互いに生きていくことの大切さを教えてくれたのではないでしょうか。ミケルさん、そしてサポートに出たスペインの学生や教師たち、その行動は児童・生徒たちの成長にきっと大きな変化をもたらすことでしょう。

以前紹介した、スカートを履いたカナダの男子生徒の記事はこちらから。

プレビュー画像:©TikTok/mikelgmz

出典

bored panda, cosmopolitan, indy100,  プレビュー画像:©TikTok/mikelgmz

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