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ロナウドが投げ捨てた腕章が…拾得者のおかげで難病に苦しむ赤ちゃんと家族を救う超高額治療費に変わる

ちょっとした偶然の出来事が時として大きな決定打をもたらすことがあります。2021年3月、W杯欧州予選ポルトガル vs セルビア代表戦。ポルトガルチームの主将を務めるクリスティアーノ・ロナウドが試合終了間際に放った、チームを勝利に導くかのように見えたゴールは審判に「ノーゴール」と判定されてしまします。その結果、試合はドローに。ゴールを認められず怒りを爆発させたロナウドはキャプテンマークの腕章を投げ捨て、終了ホイッスルを待たずしてピッチを去りました。

この怒りに任せた衝動的な行動が、結果的に病気と闘う赤ちゃんを救うことに繋がるのです。決定的なきっかけを作ったのは、同スタジアムで勤務していた消防士ジョルジェ・ヴキチェヴィッチ。ポルトガルの世界的サッカー選手の腕章を偶然拾った彼は、試合関係者の許可を得た上で慈善団体に寄付します。

慈善団体は腕章をチャリティーオークションに出品し、64,000 ユーロ(2021年7月現在で約830万円)の売上金を難病を患う赤ちゃんガヴリロ・ドゥルデヴィッチの家族に寄付しました。ガヴィリロが患っているのは脊髄性筋萎縮。非常に稀な遺伝的欠陥で、脊髄の特定の神経細胞が死んでしまう病気です。筋肉が衰え、麻痺し、重症型だと2歳以上生き伸びることが非常に困難とされる乳児の死亡で最多の遺伝的病因の一つとして知られています。

治療には高額な費用と長期的なケアが必要であり、ガヴリロの両親のうち1人は息子の看護に専念するために仕事を辞めざるを得ませんでした。早急に本格的な治療が必要でしたが、治療にかかる費用は250万ユーロ(約3,2億円)。一般の家庭には到底用意できる金額ではありませんでした。

慈善団体からの寄付により、多額の金額は集まったものの、目標金額にはまだ手が届きません…そんなとき、難病に苦しむガブリロの話がロナウドの耳に届きます。

ガブリロと家族を取り巻く状況を知ったロナウドは、すぐにサイン入りのジャージを別のオークションに出品。サッカーファンや熱心なサポーターから多くの寄付が寄せられ、オークションの売上金と合わせて約200万ユーロの資金が集まり、ガブリロは治療を開始することができました。 

残念ながら、脊髄性筋萎縮症は根本的な治療法は確立していないため、ガヴリロが完全に回復する見込みはありません。それでも、治療のおかげで彼はよりよい生活を送るチャンスを得ることができるのです。

もしあの日、ロナウドのゴールが審判に認められ彼が腕章をピッチに投げ捨てなければ、腕章を拾ったのが消防士ジョルジェではなく他の誰かで慈善団体に寄付されなければ…ガブリロがこうして適切な治療を受けることはできませんでした。奇妙な偶然が巡り巡ってガブリロと家族に大きな幸運をもたらしたのです。

確かに、勝利を決定づけるゴールが認められなかったことで怒りを爆発させ腕章を投げ捨て試合終了前にピッチを去ったロナウドの行為に関しては、ポルトガル代表主将という立場もありさまざまな批判的な意見も上がっています。とはいえ、今回の一件に関しては、ロナウドの「代表主将としては望ましくない行動」が幼いガブリロの人生に一筋の希望の光をもたらすきっかけとなったようです。

脊髄性筋萎縮症という難病と闘うガブリロが今後、より明るい人生を送ることができますように。

 

今回は怒りに任せて衝動的な行動をとってしまったロナウドですが…中身のイケメンなロナウドのエピソードも是非ご覧ください。

プレビュー画像: ©Twitter/@KashiiAlliCr17