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えらい

89歳の病気の女性と”家族”になることに決めた31歳男性

人生に思い通りにならないことはたくさんありますが、”隣人”もそのひとつでしょう。実際に住んでみるまでは、どんな人が周囲に住んでいるのか知る由もありません。隣人トラブルに見舞われでもしたら不運としか言いようがありませんが、運命的な素敵な隣人も現れるようです。

偶然隣に越してきた隣人が家族のような存在になった、そんな現代のおとぎ話のような本当の話をご紹介します。

物語の主人公は31歳のクリス・サルバトーレ。家族や友人はおろか、知人さえもいない新天地、ラスベガスに引っ越してきます。

そこで引っ越しのあいさつにと、隣人の部屋をノックします。「はーい」と声がして、しばらくして部屋から出てきたのは高齢の女性。89歳のノルマでした。アパートの一室に愛猫”エルメス”と暮らしていました。

二人はすぐに打ち解け、その後アパートの廊下で会うたび会話を交わすようになります。そのうち、互いに食事に誘うように。日常の些細なことをお祝いしたり、クリスの就職をお祝いしたり、何か理由をつけてはふたりで過ごす時間が増えていきました。

二人はいつしか、一緒にいる時間が心地良い友人になっていたのです。

少しずつ、でも確実にノルマは老いていきました。体調を崩し、部屋の外に顔を見せないことが続きました。ノルマには身寄りはありません。クリスに迷いはありませんでした。何をすべきかわかっていたのです。一緒に住もうというクリスの申し出を、ノルマは素直に受け取ります。

「すごく嬉しそうだったよ」とクリス。「毎日のようにノルマのアパートを訪れていたから、一緒に住むのもそんなに違いはなかった。あのままでは施設で暮らすことになっていただろうから、それは嫌だったんだ。本当のおばあちゃんみたいな存在になっていたから、施設に行ってほしくなかった」

こうしてクリスの部屋に引っ越してきたノルマですが、体は白血病に冒されていました。それでも二人で暮らす意思は揺らぎませんでした。どうにか医療費を捻出しようと、クリスはインターネットで二人のストーリーを公開、寄付を募ることにします。クリスがノルマの看護をしながらの、ちょっと変わった二人暮らしが始まったのです。

そして二人が初めて出会ってから4年と少しが経ち、ノルマは静かに息を引き取りました。「今日、ノルマという素敵な女性がこの世から去りました」クリスはFacebookに追悼文を寄稿しています。「僕らは互いに助け合って、愛し合うために生まれてきたんだということをノルマは教えてくれた」

ノルマの最晩年は、クリスと過ごした愛に溢れたものでした。血縁のない二人の関係は、互いを必要とし、助け合った家族のような温かい関係でした。ノルマとクリスの形にこだわらない、愛を受け入れる姿勢が幸せを引き寄せたのかもしれませんね。

出典: tiffytaffy

プレビュー画像: © Facebook / Chris Salvatore