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オシャレのためならどこまでも!歴史に残る危険なファッショントレンド

ファッション界ではさまざまなトレンドが生まれては消えていきます。

現代に続くこのファッショントレンドという現象は、ヨーロッパの貴族たちに端を発すると言われています。中世から近世の貴族たちにとって、流行のファッションに身を包むことこそが特権階級の証、裕福さの象徴となっていたのです。

そのため、どれだけエキセントリックなファッションや健康を害する危険なトレンドであっても、最先端の流行りであるとなれば、貴族たちはこぞってその格好をしたのです。

この記事では、かつて大流行した危険なファッショントレンドを集めてみました。いずれも決して真似をしてはいけないものばかりです。

1. 卵黄でガチガチに固めたもりもりヘア

18世紀の貴族の女性たちのヘアスタイルのトレンドは、レースやジュエリーで飾られたボリューミーヘア。

巨大盛りヘアの魔法が長く続くように、女性たちは牛や豚の脂、ときには卵黄を整髪料として髪にすり込みました。しかし、しばらくすると当然ながら髪からは悪臭が。この臭いをごまかすために、香水をかけたり、香り付きの小麦粉をまぶしたりしていたそうで、一体どんな臭いが漂っていたのか・・・想像したくありません。

さらに、もりもりヘアを崩さないために、女性たちは座ったままで眠っていたそうです。

2. 男は黙って襟を立てる

18世紀から19世紀にかけて、伊達男の象徴となったのが襟を立てたスタイル。確かに見た目はとてもカッコ良いのですが、着用する人にとってこれは拷問。カチカチに硬く糊付けされた襟はとてもきつく、少し首を下げただけで頸動脈の血流を遮断するのです。なかには泥酔して寝込んでしまい、カラーに首を締め付けられて窒息死するケースまで発生したそう。ダンディズムは実は息苦しさと背中合わせだったのですね。

3. 頭が火事に

20世紀初頭、安価に生産できるセルロイド製の櫛が大流行。多くの女性がアップスタイルの髪に可愛い櫛をつけるようになりました。しかし、この初期のセルロイド製コームにはとても燃えやすいという性質がありました。強い日差しにさらされただけで燃え上がってしまい、女性たちの頭から火の手が上がることも多かったそうです。

4. 毒のある靴

かつて靴磨きにニトロベンゼンが使われていました。ニトロベンゼンは非常に危険な化学物質で、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。そのため、靴を履いて中毒症状を引き起こすケースが多発。それにもかかわらず、メーカーはこの製品を長い間「アーモンドオイル」といった無害な名前で市場に出し続けました。

5. 髪の中に隠した細剣

20世紀初頭、女性たちの間で巨大な帽子が大流行。バランスを取るため、帽子は頑丈なピンで髪に固定していました。帽子を支えるピンの長さはときに30センチに及ぶことも。先の尖った長いピンは周囲の人を傷つけることもありましたが、多くの女性は髪に刺したピンを護身用の武器として身を守るためにも使っていました。

6.  細いウエストへの執着

過去のファッショントレンドのなかでも、コルセットはその危険がよく知られているもののひとつ。かつて美しさの象徴であった細いウエストを手に入れるため、女性たちはコルセットで腰をぎゅうぎゅうと締め付けたのです。コルセットを長年着用した結果、多くの女性が筋肉の萎縮、呼吸困難、臓器の圧迫などに悩まされ、ときには死に至ることもありました。

7. ハイヒールは糞尿避け

最初のハイヒールは「チョピン」と呼ばれ、16世紀にイタリアのベネチアで人気を博しました。当初、ハイヒールの目的はファッションではなく、汚物を踏まないため。中世ヨーロッパの街は糞尿などの汚物がそのまま捨てられており、非常に不衛生であったため、人々は爪先立ちで歩いていました。そんな汚い道を爪先立ちせずに歩けるように登場したのが高いヒールの靴。当初は高さ50センチもあったため竹馬状態。使用人の手を借りて移動していたそうです。

8. スカートの中の秘密

クリノリンとは、現在のペチコートの前身。女性のスカートを膨らませるための骨組みです。クリノリンはある時期から巨大化し、体型の様々なコンプレックスや妊娠を隠すために極端に大きくなっていきました。そんな巨大なクリノリンを着たままではドアを通ることもままならず、馬車に乗るのも一苦労。近くの暖炉の火がスカートに引火して、着る人の命にかかわる事態になることもありました。

9. 歯のない君主

エリザベス1世の時代、歯科医療はまだ発達しておらず、虫歯にならないために予防的に健康な歯まで抜いていました。エリザベス1世は、歯を抜いて頬がこけたのを隠すため、口の中にタオルを丸めて入れ、頬を膨らませて見せていたそうです。

10. 死を招く緑

18世紀まで、糸や衣服を緑色に染める染料はありませんでした。1778年、化学者のカール・ヴィルヘルム・シェーレが銅とヒ素を混ぜていたところ、偶然エメラルドグリーンの顔料が発明されます。この人工顔料はシェーレグリーンと呼ばれ、染料として大人気を博します。

瞬く間に人々を魅了したシェーレグリーン。貴族たちはこぞってこの新しい鮮やかな緑色の服を着るようになりました。しかし、グリーンの服を着た女性たちの中で、深刻な病気が増えていきます。この染料(ヒ素)を皮膚に長時間つけておくと危険だということが知られるようになったのは19世紀になってから。この物質は現在では、農薬としてのみ使用されています。

ときには命をも奪った危険なファッショントレンド。現代の感覚からすると「なんでそこまで・・・」と呆れてしまいます。しかし、当時の貴族のなかには、オシャレを追求するためなら命をかけても惜しくないと考えいた人も少なくなかったようです。

近世・近代の貴族たちのやばい風習についての記事も併せてご覧ください。

出典:brightside
プレビュー画像:©Facebook/17 th century hairstyles