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えらい

出産後に亡くなった母親の最期の願いが12人の命を救う

キャスリーン・ソーソンは、2019年12月に4人目の子どもを出産しました。しかし、幼い息子の誕生からわずか5日後、若い母親は脳出血のために突然死してしまいます。

しかし、死の直前、キャスリーンは家族に最後の願いを託しました。

オレゴン州メドフォードに住むキャスリーン・ソーソンと夫のジェシーは、4人目の子どもの誕生を楽しみに待っていました。長男ダニエルと次男ジェームズ、娘のグレースに続き、三男のテディとの対面を待つ家族はまさに幸せそのもの。しかし、テディの誕生からわずか5日後、キャスリーンの容態は急変し、病院に運ばれます。医師は重度の脳出血があると診断し、数回の救急手術を行いました。

医師らの必死の努力もむなしく、キャスリーンは脳死と判定されます。しかし、若い母親は死を前にして、家族に最後の願いを打ち明けていました。「自分の臓器を最も必要としている人に提供してほしい」という願いです。

これは悲劇が起きるずっと以前から彼女が望んでいたことでもありました。夫のジェシーと家族は彼女の願いを叶えるため、キャスリーンの臓器を希望者に提供することを決意します。

結果的に、彼女の願いは12人の命を救うことになりました。キャスリーンの体から心臓や肺など12個の健康な臓器が摘出され、臓器提供がなければ救えなかった命をつなぐことになったのです。

「キャスリーンの病状は絶望的なほど悪化していました。そして彼女は、臓器提供を切実に必要としている人々の奇跡となることを望んでいたのです」

夫妻の友人であるリチャード・スタッブスは、残された家族のためにクラウドファンディングサイトを立ち上げました。キャスリーンの無私の願いに感銘を受けた多くの人々から、わずかな期間で9万6,000ドル(約1000万円)以上の支援が寄せられます。

集まったお金は入院費や葬儀費用にあてられましたが、キャスリーンの夫ジェシーは、すべての費用を差し引いて残ったお金で妻のもうひとつの願いを実現しました。

それは、残された子どもたちが遊んだり夢を見たりできるような庭を作ること。ガーデニングが好きだったキャスリーンの夢を引き継いだ庭で、ダニエル、ジェームス、グレース、テディは若くして亡くなった母をいつでも偲ぶことができるようになりました。

小さなテディはすでに2歳。父親のジェシーや3人の兄弟たちと一緒に大自然の中でのびのびと過ごし、健やかに成長しています。テディには母親の記憶はありませんが、母について語られる物語を通してテディの中で母の姿は息づいています。

勇気ある決断によって、12人の人々を死の淵から救ったキャスリーン。その命は4人の子どもたち、そして12人の次の命へと受け継がれました。子どもたちの健やかな成長と、12人の人々の希望あふれる人生を願うばかりです。

出典:people

プレビュー画像: ©Instagram/thethorsons