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【抜け出すのは不可能ではない】薬物依存を克服したカップル

現在、日本では、すべての中学校と高校で少なくとも年1回、麻薬の危険性を警告する啓蒙活動が行われています。しかしそれにもかかわらず、若年層に薬物乱用が拡大しています。人生経験の少ない若者は、忍び寄る中毒の危険性を過小評価しがちで、「悩みを消す薬」「冒険」などの甘い言葉に誘われて、興味本位で麻薬に手を出してしまいます。

米国では麻薬の問題はさらに深刻。若い頃に違法なドラッグに手を出してしまう人が非常に多く、何よりも依存症からの回復の難しさが問題になっています。ブレントとアシュリー・ウォーカーという若いカップルもこの問題に向き合ってきました。

ブレントは若い頃から薬物を常習していました。9歳で両親からタバコを盗み、12歳で大麻を吸い、15歳で初めてLSDとエクスタシーを服用。大人になってからも弟と一緒に麻薬を売っていました。

彼の人生は薬物によって完全に支配されていました。さらに、弟は麻薬の影響で自動車事故に遭い、死亡。ブレントの生活は加速度的に悪くなっていきました。

「クリスタル・メス(メタンフェタミン)に手を出してしまったんです。中毒性の高いドラッグです。弟の死にどう対処すればいいのかわからなくて…僕は若すぎました」とブレント。

2010年、ブレントはアシュリーに出会いました。彼女はブレントから大麻を買っていたのです。二人は付き合うようになりましたが、依存症が二人の関係に悪影響を及ぼし、別れてはよりを戻すの繰り返し…

「ジェットコースターのような毎日でした。食べることも眠ることもできない状態が続くんです。でも数日間薬を飲まずにいると、薬の効果が切れて本来の自分に戻るんです」とアシュリー。

ブレントは麻薬取引で何度も投獄され、アシュリーはリハビリ・クリニックに入っては、また薬物に手を出してしまうという状態が続いていたと言います。

しかし2016年の終わり、ブレントとアシュリーは自分たちの人生を変えようと強く決意したのです。大晦日に、二人は二度と麻薬を使わないと誓いました。

「私たちは、薬物に関係するすべての人や物を人生から排除することを決めました。それは古い友情を終わらせ、新しい友を作ることを意味しました。薬物依存者は、昔の友達と最後に一度だけ薬物を使用したことがきっかけで元に戻る人が多いのです。私たちは彼らとの接触を完全に断たなければなりませんでした」

二人は新しい生活を見つけるために小さな目標を立てることにしました。たとえば、30日間、薬物を使用せずに生活できれば結婚しようと決め、二人は結婚しました。ブレントは中等学校の補習を受け、アシュリーは家族と連絡を取り合いました。2人は一つ一つ目の前の目標をクリアしていくことで、多くの困難を乗り越えてきました。

2019年、二人は他の依存患者が薬物から抜け出す手助けになるように、依存のまっただなかにいた2016年当時の写真と依存症を抜け出して3年目になる幸せな二人の写真をフェイスブックに公開しました。

この写真は大きな注目を集め、20万人以上のFacebookユーザーが「いいね」を寄せました。

ブレントやアシュリーの事例は、薬物依存からの回復が決して不可能ではないことを示しています。二人の今の幸せが、依存症とたたかう人々に勇気と希望を与えることになれば嬉しい、とブレントは語っています。

プレビュー画像: ©️facebook.com/Brent Alexander Walker