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納骨堂で亡き妻に語りかける男性は彼女にもう一度会いたいと願い続けた そしてその願いが叶った時その姿に胸がいっぱいになった

家族や恋人、愛する人の死は、心に大きな喪失感と悲しみをもたらします。不慮の事故による突然の別れや病気など、どんな形であれ、すぐそばにいた存在がもうこの世界にいない、という事実は受け入れ難いもの。触れることも、声を聞くことももうできない現実は、昨日までそこにあった世界を一瞬にして変えてしまい、深い悲しみが心を支配してしまいます。「時が悲しみを癒す」とはよく聞きますが、その愛が深ければ深いほど時間がかかるものです。

韓国、5人の子供の父親である51歳のキム・ジョンスさんは、4年前に妻を長年の闘病生活の末に亡くしました。それ以降、彼は「最後にもう一度、ひと目でいいから妻に会いたい」と切に願ってきました。

YouTube/MBClife

亡き妻に会いたい、2度と叶わぬ思いを抱えたまま過ぎた4年間でしたが、ある方法でその願いを叶えることができました。

その方法がVR(仮想現実)。VRは頭部に設置したヘッドセットにより目の間に広がる仮想空間であたかも現実であるかのように感じらるもの。

YouTube/MBClife

今回、TV・ラジオ兼営放送局である韓国文化放送(MBC)によって、キムさんと奥さんの再会が実現します。MBCでは以前より、VRを利用し故人と遺族の再会を実現するというドキュメンタリーを放送してきました。

キムさんと奥さんの再会を実現するにあたり、その準備に要した時間は約半年。生前の姿を模したCGを作成したのち、妻の動きは特別な訓練を受けた女優が再現しました。

YouTube/MBClife

キムさんの妻の写真や動画から外見や動きを分析、声も動画に残った妻の声と女優の声を組み合わせ、できる限り妻に近い声を目指したそうです。

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そして実現された再会がこちら。

亡き妻の姿を目にしたキムさんから嗚咽が漏れます。

YouTube/MBClife

妻とひとときワルツを踊り、限られた時間を過ごしました。

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当初キムさんの5人の子供たちの中には、この再会に反対する意見もあったそう。母の死は残された家族全員にとって辛く耐え難いものでした。だからこそ父であるキムさんには、悲しい思い出の中で生きるのではなく、彼の人生を生きて欲しいと願っていたのです。

「父は、母が家事をしている時、食事をしている時、テレビを見ている時、その時々に母にキスをしていました。母が病気で頭髪を失ってしまった時でも、母に可愛いと声をかけ抱きしめていました」

ありし日の両親の姿について、キムさんの娘はこう語っています。

再会を果たした時に、キムさんは妻にこう問いかけます。

「もう痛みで苦しんでいない?」

YouTube/MBClife

闘病の痛みで苦しんでいた妻が、その痛みから開放されていることをキムさんは願っていたのです。

この彼の問いかけを聞いた時、子供たちは涙をこらえることができませんでした。

YouTube/MBClife

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このVRによる故人との再会には、感動的な一方で、悲しみに囚われてしまう可能性現実を見れなくなる可能性への指摘もされ、様々な議論が起こっています。愛する人の死を受け入れるか、そうでないかで、VRが果たす役割は大きく変わってくると、専門家も指摘しています。

しかし、喪失感とどう向き合うかは人それぞれ違うものです。キムさんの子供たちが願ったように、彼が妻の死を受け入れるため、自分の人生を生きるための選択であったのであれば、この再会は意味のあるものだったのではないでしょうか。

プレビュー画像:©YouTube/MBClife