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勇気をくれる

12歳の老犬を抱いてポーランドの国境まで歩いたウクライナ女性

隣国ポーランドとの国境までの道のりを、12歳の年老いた愛犬のジャーマン・シェパードを肩に抱え避難するウクライナ女性の姿を撮影した写真がネットで話題を呼んでいます。

戦火を逃れ、隣国ポーランドに避難しようとしていたウクライナ女性アリサと愛犬Pulya。しかし、国境まで17キロの地点で、12歳半の老犬Pulyaは疲労により歩くこともままならなくなってしまいます。大型犬のPulyaを抱えて歩き続けるのは至難の業。それでも、アリサは大切な愛犬を置き去りにするなどできませんでした。

2月23日に父親を失い、その翌日にはロシア軍が母国ウクライナに侵攻するなど、アリサにとってこの数週間はあまりにも辛い出来事の連続でした。

ロシア軍が迫り、各地の爆撃被害が激しさを増す中、アリサはウクライナからポーランドへの避難を決意します。ウクライナのゼレンスキー大統領は国民総動員令に署名、18歳から60歳までの男性の出国を禁じたため、アリサ後ろ髪を引かれる思いで夫を故郷に残し、愛犬2匹と共にウクライナを脱出することにしたのです。

必要なものをバックパックに詰め込み、2匹の愛犬を車に乗せ、他の避難民とともに一路国境を目指しました。愛車プジョー307を16時間走らせ、キエフから140キロ離れた小さな村に一夜の宿を見つけました。 そして早朝、再びハンドルを握り逃避行を続けました。

ポーランドの国境が近づくにつれ、渋滞は激しさを増しました。多くの避難民が車で国境に押し寄せているため、EUに入る国境ゲート前には数キロもの長い車の列ができていたのです。車で国境を越えるには、おそらく車内で何日も待たないといけないでしょう。そこで多くの避難民は車での国境超えを諦め、数キロ先の国境まで歩くことにしたのです。

しかし、歩き始めてわずか1、2キロで12歳半の愛犬Pulyaが突然、疲労から倒れ込んでしまいます。アリサは通り過ぎる車の運転手に自分と犬を国境まで乗せていってほしいと頼みますが、誰も自分が避難するので精一杯で、助けてくれる人もいませんでした。中には、歩けない犬を諦めて置いていくようアドバイスする避難民もいましたが、愛犬を見捨てるなどアリサにとっては考えられないことでした。

彼女はPulyaを肩に担ぎ、ポーランドとの国境目指して歩き始めました。Pulyaは大型犬ジャーマン・シェパード、アリサの肩にその重みがのしかかります。しかしアリサは懸命に歩き続けました。そして17キロの道のりを歩き、ようやく国境に辿り着いたのです。

多くのウクライナ人はペットを連れて避難することができましたが、中にはやむを得ない事情により現地の残されたペットたちもいます。 こうした置き去りにされたペットを救うため、PetaCentaurus Foundation などの動物保護団体の勇気あるスタッフたちが、現地に乗り込み救出・保護活動を展開しています。保護されたペットたちは、ヨーロッパ各国の動物保護施設に引き取られています。

ウクライナから一人でも多くの人々が、また1匹でも多くの動物たちが安全な地域に避難することができますように。そして、現在行われている侵攻が1日も早く収束するよう、願わずにはいられません。

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出典: upworthy

プレビュー画像: ©Twitter/Visegrád 24