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アンビリーバボー

「防ぐことができたはず」わが子の最後の写真を公開した母

愛する人、大切な人たちと過ごす何気ない時間は、ほんの一瞬で二度と戻らない瞬間になってしまいます。

カナダ人のエラン・ジョーンズは、2013年3月のある日、3人の我が子と車に乗っていました。ハンドルを握るのは義理の姉。雪道をゆっくりと、注意深く進んでいきます。ふとエランは、後部座席に座る子どもたちの姿を写真に収めます。ほんの何気ない一枚になるはずでした。この30分後に想像を絶する悲劇が待ち受けているとも知らずに…。

わが子の最後の写真

「これが子どもたちの生前の最後の写真になってしまった」エランは、後日Facebookにつづっています。

白いトラックが対向車線から突っ込んできたのは、この30分後でした。運転席のエランの義理の姉は、とっさに対向車を避けようとしますが遅すぎました。トラックと正面衝突した車は、何度も急回転し道路脇で停止しました。

意識を取り戻したエランは、ショックで動けずにいました。運転席の義理の姉は衝突の衝撃で即死でした。しかし3歳のオーウェンの泣き叫ぶ声で我に返ります。1歳半のトレン、そして4歳のヘイリーの呼吸は止まろうとしていました。

エラン自身は奇跡的に軽傷で済みましたが、救急車が到着した時にはヘイリーとトレントは帰らぬ人となっていました。

「救急隊が到着した時点では、私はみんなはまだ生きていると思っていた」とエラン。「もしかしたら死んでいるかもしれないとは思ったけど、受け入れられなかった」。病院に搬送され、駆け付けた夫から全容を聞いたそうです。生き残ったのは、エランと3歳のオーウェンだけでした。

「悲劇は防げたのでは?」

エランはその後数か月間自分を責め続けました。「子どもたちは死なずに済んだのではないか…」子どもたちは3人とも後部座席でチャイルドシートに座っていました。ベルトもきちんとつけていました。しかし、衝突の衝撃でヘイリーはヒップベルトから抜け出ていました。トレントはシートに固定されていましたが、衝撃で首の骨が折れていました。オーウェンは生き残りましたが、内臓に大きな損傷を負っていました。

「チャイルドシートの規制見直しを」

規格品のチャイルドシートを装着していたのに、なぜ子どもたちは命を失ったのか。エランは徹底的に調査をしました。そしてエランはある結論にたどり着きます。別のタイプのチャイルドシートだったら、ヘイリーもトレンも命を落とさずに済んだというのです。

エランは政府に、チャイルドシートの最低要件を見直すよう働きかけています。エランは、2歳未満児は進行方向とは逆向きに座らせるバックシートのあるタイプを、そして5歳未満児にはバックシートと複数個所でベルトを止めるタイプのチャイルドシート義務化の必要性を訴えています。

壮絶な事故から約10年が経ちましたが、エランはあの日を忘れられずにいます。PTSD、そしてパニック発作に悩まされ鬱病も発症しました。夫のニコラスとオーウェン、そして新たにこの世に誕生したエリザベスが現在32歳のエランを支えています。

現在、安全なチャイルドシートの利用法についての啓蒙活動に励むエラン。正しいチャイルドシートを装着させることで、一人でも多くの子どもたちを守りたい、そんな思いがエランを今も突き動かしています。

出典lovewhatmatters , walesonline
プレビュー画像
: © Facebook/Eran Jalbert Jones Cpst