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空港で放置されたまま一週間が経過した箱を当局は開封することにした。中に入っていたある物に職員たちは戦慄した。

2017年3月、レバノンのベイルート空港に奇妙な箱が届きました。中身について説明する記載はなく、発送元の住所も記入されていませんでした。空港倉庫の一角に一週間もの間、誰も受取人が現れないまま放置されていましたが、最終的に税関職員により箱の中が確認されることになりました。

箱が開封されると、そこには想定外の内容物が…..

Facebook/Animals Lebanon

箱の縦サイズわずか40cmの狭い空間に、3頭のシベリアンタイガーの子供がいたのです。

3頭の赤ちゃん虎は空腹で脱水症状を起こし、排泄物まみれでした。しかし更に悪いことに、ウジ虫が体に寄生している状態でした。

気の毒なことにこの3頭はワクチン接種も施されることなく、劣悪な環境に閉じ込められていたのです。幸いにも行政は動物愛護団体 Animals Lebanonに赤ちゃん虎を安全な場所に移し治療し、一層の健康状態の調査をすることを認めました。シベリアンタイガーは絶滅危惧種に指定されている希少動物です。3頭が唯一身につけていたものは体内に埋め込まれたマイクロチップのみでした。しかし飼い主がいたとしても、飼育環境下の絶滅危惧種に関する国際法に基づき、3頭は保護されるよう義務付けられているのです。

箱の底に溜まった尿によって、赤ちゃん虎の肉球は赤く腫れ上がっていました。箱の高さが後ろ脚で立ち上がるのに十分な高さではなかったため、脚は重度の痙攣を起こしていました。さらに3頭揃って下痢とその他の消化系のひどい疾患を抱えていたのです。

調査の結果、3頭の赤ちゃん虎はウクライナの動物園から空輸されていたことが判明します。シリアダマスクス動物園に移送途中だったのです。しかし書類が不十分であったことに加え、おそらくシリアの紛争のため、赤ちゃん虎の入った箱は途中で保留状態になってしまったことが考えられました。3頭の母親虎は2012年以来、少なくとも12頭の赤ちゃん虎を出産したと推定されています。そのうち、9頭は個人の密売人に売却されたそうです。売られた9頭にどんな行く末が待ち構えていたのかは、残念ながら知る由もありません。

Facebook/Animals Lebanon

野生動物専門の獣医によって適切な治療を受けた赤ちゃん虎たちは無事回復を遂げました。しかし同動物愛護団体の苦労はこれで終わりではありません。ウクライナの動物園は3頭を返却するようにと訴訟を起こしたのです。

「大型のネコ科動物は闇市場では何百万円もの値がつきます。その価値から、持ち主は3頭を取り戻そうと仕掛けてきます。私達は3頭を守るため、受けて立つのです」と、Animals LebanonはFacebookに声明を発表しました。

最終的にどのような審判が下りるのかはまだ不明です。しかし、3頭がいずれ安全な保護区域に送られ、同種のシベリアタイガー仲間と平和に暮らすことができるようAnimals Lebanonは手を尽くしています。もしウクライナの動物園経営者が勝訴すれば、3頭は送り返され、珍しいペットを売買するバイヤーに売却されてしまうのです。

Animals Lebanonの活動はこちらから視聴できます:

Animals Lebanonのような動物愛護団体は野生動物を利用する営利目的の市場や度を超えた動物虐待の容認に対し、反対活動を展開しており、団体の運営は人々の支援によって支えられています。こちらのサイトからAnimals Lebanonに寄付することで、3頭の赤ちゃん虎の安全を守る活動を支援することができます。

違法な「珍重」動物の取引から救出された野生動物を保護する地域の動物愛護団体の活動に目を向けることも、不幸な境遇から少しでも多くの野生動物を救い出す第一歩につながります。