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ジーンとくる話

恐れから、彼女の指を切り落とした。20年後、彼女の生活は全く変わっていた。

見る人を魅了するサーカス。しかし華やかなショーの裏側には、動物の虐待が潜んでいることもあります。私たちはすでにサーカスの動物たちの悲しい現実を見てきています。このペルーでの例もまた、無視することができない悲惨なものです。

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動物保護団体のADI(Animal Defenders International)は、以前からペルーのサーカスで動物の虐待が行なわれていることを知っていました。しかし実際の視察が行なわると、実態は予想していたよりもはるかに酷いものだったのです。このサーカスでは、多くの動物が栄養失調状態で小さく狭いコンクリート製の檻の中に入れられていました。その中でも特にひどい状態だったのは、メガネグマの「チョリータ(Cholita)」です。チョリータは25年にもわたってこの劣悪な環境で飼われていました。人間に危害を与えることがないよう爪ごと指先を切り落とされ、牙も削られていました。通常メガネグマは光沢のある黒と白の毛に覆われていますが、ストレスから全身の体毛が抜け落ち、クマと言うよりはまるでハイエナのような痛ましい姿でした。

左がチョリータ、右が本来のメガネグマの姿です。

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ADIはチョリータを保護し、メガネグマ専用の施設がある首都リマへと移します。診察で関節炎と呼吸関連の問題が見つかり、その治療には数ヶ月を要しました。

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体力が回復した後も、サーカスの外の世界を知らななかったチョリータを野生に返すことは不可能なことでした。しかしチョリータの存在がメディアで紹介されたことをきっかけに多くの寄付がADIに集まり、熱帯雨林の自然保護区内にチョリータ専用のスペースが設置されることになったのです。そこはこれまで生活していた檻と比べ物にならない広さで、寝床となる洞窟やプールが備えられており、チョリータは自然環境により似た環境で暮らすことができます。アマゾンまでは、アンデスを超えて3日の道のりでした。

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ついに新たな人生を歩むことになったチョリータは、自然の匂いを満喫しています。

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その後、ADIはさらに3頭のメガネグマをサーカスから保護し、3頭ともがすでに熱帯雨林での新しい生活をスタートさせているそうです。現在、この保護活動はペルーの官庁と協力して行われおり、ペルー国内のサーカスの状況も少しずつ良くなってきているといいます。

サーカスで苦しむ動物たちを救おうと、世界中で動物サーカス反対運動は活性化しています。しかし、今でも多くの動物たちが過酷な状況の中で苦しんいるのが現実です。動物の曲芸を見て子どもたちは喜ぶかもしれません。しかし、本来野生の動物たちが見事な芸を演じることができるのは罰を受けるという脅威があるからです。残酷さは舞台裏にあるのです。

動物を苦しめる娯楽などあるべきではないのです。