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【悲劇】双子の兄の隣で、眠っている間に天国に旅立った8歳の男の子

それは8月の爽やかな夏の夕べでした。医師ジェシカ・ブランデスは、数週間前に米国ポートランドの新居に夫のJR・ストルメントと8歳の双子の息子ウィリーとオリバーと共に引っ越してきたばかりでした。その晩、家族は親しい友人を夕食に招待し、子供達は楽しそうに庭のトランポリンで跳ねてはしゃぎ回っていました。

夕食は注文したインディアンカレー。ウィリーの大好物です。すっかり遊び疲れ、楽しい1日を終えたウィリーは双子の片割れであり親友でもあるオリバーの隣でおやすみのキスとともに眠りにつきました。そして…2度と、目覚めることはありませんでした。

ウィリーの死はなんの前触れもなく、睡眠中に突然訪れました。死因はおそらくSUDEP(てんかんにおける予期せぬ突然死)。良好な状況にあるてんかん患者に突然起こる、外傷や溺水が原因ではない予期せぬ死です。研究によると年間1000人当たり1.1~9.3件、小児てんかん患者の5000人に1人の割合で発生しているといわれてます。

亡くなる9ヶ月前に睡眠中や朝起きる前に起こる良性小児てんかんである「ローランドてんかん」の診断を受けたばかりでした。5歳から8歳にかけて多く起こりがちな疾患ではあるものの、思春期が始まる頃には治るとされており、医師の診察結果でも経過は良好だと受け止められていました。

しかし、ウィリーは8歳にしてある日突然旅立ってしまいました。全く心の準備もないままに最愛の息子を失った両親はLinkedInに喪失の痛みを綴った手記を投稿しました。

「深い嘆きと悲しみの中、今回の出来事をみなさんにお伝えすることが私たちにとって救いとなっています。息子の死について話すことで、ゆっくり少しずつではありますが、気持ちを整理し心が癒されつつあります」と母ジェシカは語っています。

「その朝、ウィリーは遅くまで眠っているようでした。ベッドで静かに眠るウィリーを見ながら、違和感を覚えました。オリバーはもうとっくに起きて、隣でiPadで遊んでいるのに、ウィリーはまだ寝ているのです。ブランケットからはみ出たウィリーの脚をふと見ると、紫色の斑点が出ていました。その時です。異変に気づいたのは。ブランケットをめくると、生気のない紫色に変色したウィリーの姿がありました。少なくとも死後すでに8時間が経過していることを示す色でした。脈を測ろうとして触れたウィリーの体は驚くほど冷たく、医師として、もう手の施しようがないことを悟りました」

ジェシカは救急車を呼ぶ前に、勤務中の夫に電話し息子の死を伝えました。

「よほどの緊急事態でないと仕事中は電話をしない、職場に電話=緊急なので絶対に出るというルールを決めていたので、夫は電話に出ました。オブラートに包んで伝えることもできず、また説明する時間もなく、ただ『ウィリーが亡くなったの』と告げるのが精一杯でした」

警察や検察官は調査のため子供部屋は立ち入り禁止となり、ウィリーと最後の時間を過ごすことがようやく許されるまで待つ時間はまるで永遠のように感じられました。

「ベッドに横たわる息子の隣に寝て、息子の手を握りしめながら、『一体なにが起きたんだ?どうして?』と何度も問いかけました」と父親のJRは語ります。

「息子に寄り添い、30分間頭を撫でていました。ストレッチャーで子供部屋から運ばれていく息子を隣で追いながら、遺体を入れる袋に入った息子の手を袋越しに握っていました」

ジェシカはオリバーと庭先に立ち、父親に付き添われ搬送されるウィリーを見送りました。その朝目覚めたときとは全く違う別世界にいるようでした。

家族が受けた喪失は大きなものでした。ウィリーの朗らかな笑い声が響くことはもうありません。家族の誰1人として心の準備のできないままに、子供を、弟を、そして親友を失ってしまったのです。

「あの子はいつも明るくて賢い、図工とダンスが得意な、陽気で楽しい男の子でした。せめてもの救いは大好きな兄の横で、暖かなベッドで幸せな気分のまま永遠の眠りについたことです」

「息子を失って学んだこと、それは人生がいかに儚く限りあるものであるかということです。もっと一緒に過ごしたかった。子供を持つ人は是非、もっと多くの時間を子供と過ごしてください」

大切な息子を失った夫妻の訴えが胸に刺さります。人生は思いのほか脆く、だからこそこの一瞬一瞬がかけがえのないものだということを教えてくれます。

ウィリーのご冥福をお祈りします。そして残された家族の心に平穏が訪れますように。

プレビュー画像:©︎Facebook/Ser Mãe