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すごい人たち

為末大が小学生の全国大会廃止に賛成な理由

スポーツ界で今大きな話題を呼んでいる出来事があります。

毎年夏に全日本柔道連盟が主催していた、『全国小学生学年別柔道大会』の廃止が発表されたのです。多くの柔道に真剣に取り組む小学生たちが、自分の腕を試し、研鑽するための全国大会。一体どうして廃止されてしまったのでしょうか。

全日本柔道連盟は、このように説明します。

昨今の状況を鑑みるに、小学生の大会においても行き過ぎた勝利至上主義が散見されるところであります。心身の発達途上にあり、事理弁別の能力が十分でない小学生が勝利至上主義に陥ることは、好ましくないものと考えます。


いくらそこに理由があるとは言え、柔道に取り組む小学生たちの目標が消えてしまうことに、多くの人が動揺を隠せませんでした。

そんな中、全日本柔道連盟の決断に、いち早く反応した人物がいました。

為末大(ためすえ・だい)さんです。

為末さんと言えば、元陸上競技選手。スプリント種目の世界大会で日本人で初めてメダルを獲得するなど、生粋のアスリートです。

現在はスポーツコメンテーターとして、スポーツに軸足を置きながら、社会全般に関することを発信し続けています。

そんな為末さんの発信した「全国大会廃止」に関するツイートが今、多くの人々の共感を集めているのです。

実際に一連のツイートをご覧ください。

そう、為末さんは、子供時代に勝てる戦略と大人になった時に勝てる戦略は違うということを指摘した上で、小学生の段階から勝ちにこだわる姿勢が、むしろ大人になった時の伸びしろを奪ってしまうということを危惧し、「小学生の全国大会廃止に賛成である」というスタンスを示したのです。

そして、こんな印象的なフレーズを残しています。

「現場に行けばわかるのは、最も勝ちたいのは大人です」

元スポーツ選手の言葉だけに、非常に強い説得力があります。このツイートは多くの人々の注目を集め、現在までで5万以上のいいね!を集めています。

Twitterの人々の声

為末さんの意見には、共感の声が多かった一方で、もちろん反対意見も挙がっています。特に多かったのは、「小学生の子供の目標を奪ってしまうことは残酷だ」「全国大会を楽しみにしている子供たちも多くいる。それを奪うのは、それこそ大人のエゴなのでは?」と言ったようなものでした。

しかし、選手が早い段階で、身体的に、もしくは精神的に潰れてしまうということは、残念ながら柔道などの武道の世界だけでなく、球技の世界でもしばしば起こっていることなのです。

それを大人がどうコントロールできるのか?ひょっとすると、小学生の全国大会を廃止するということは、その第一歩になりうるのかもしれません。

まだまだ議論の続きそうなこの話題、みなさんはどう思いましたか?

プレビュー画像: ©Facebook/Akinosuke Inoue