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えらい

スケート高木姉妹の母の献身

北京オリンピックで私たちを沸かせてくれたのは、何と言っても高木姉妹でしょう。

高木菜那選手(姉)と美帆選手(妹)は、2人ともスピードスケートの選手として活躍しており、2人で獲得したメダルはなんと10枚にも及びます。

大活躍の姉妹ですが、ウィンタースポーツの選手になり、オリンピックに出場できるまで継続して努力を続けることは、決して容易なことではありません。

ウィンタースポーツは決して経済的に敷居の低いスポーツとは言えず、用具や練習施設の確保、遠征などにかかる費用は、他のスポーツと比較しても実に高額です。

高木姉妹は、兄である大輔さんもスケートをやっており、そこにかかる費用はかなりの額になっていたはずです。しかしそんな高木姉妹を陰で支え続けた、母・美佐子さんの献身が今、大きな話題を呼んでいます。

伝えているのは、文春オンラインです。

父の愛徳(よしのり)さんは会社勤めだったそうです。母・美佐子さんは、子供たちがスケートを続けられるように、美帆さんが幼稚園の頃に新聞販売店の託児所に預けて、新聞配達を始めたと言います。

さらにそれだけでは足りず、スーパーのレジ打ちの仕事とも掛け持ちしてやっていたそうです。すべては、「スケートを続けたい」と言う子供たちのため。

しかしどれだけ忙しくても、美佐子さんが笑顔を絶やすことはなかったそうです。

そんな母の背中を見て育ったからでしょうか。子供たちも中学生に上がるころには、母の仕事を手伝うようになっていったそうです。

子供たちは、早朝に新聞を配って、それからトレーニングを兼ねて高校まで自転車で通っていたそうです。お正月は、一緒になって新聞を配るお父さんの姿もありました。

そうして家族一丸となって、追いかけた夢。妹の美帆さんは、中学生でバンクーバー五輪出場を果たし、地元中の注目を集めたそうですが、決して有頂天になることはなく、地に足のついた感じだったそうです。

それは、長い間、自分たちのために身を粉にして働く母を見て、「一人で成し遂げられることはない」と、そう知っていたからなのかもしれません。

「お金の苦労は確かにありましたけど…けれどそれを苦労と思ったことは、一度もないんです」

美佐子さんは、子供たちにいつもこう教えていました。「人前で泣かないように」と。

どんな時も涙を見せずに、凛として、高木姉妹は北京オリンピックの表彰台に上がりました。心の中にはいつでも、母の教えがあったのです。

プレビュー画像: ©Twitter/gyoraidou

出典:文春オンライン