トリビア
SNSで話題の「スウェデンゲート」スウェーデン人はよその子に食事を出さない?
スウェーデンといえば、世界中の多くの人が憧れる北欧の国。しかし最近、この非の打ちどころのない評判に衝撃が走ったのをご存知ですか?
ソーシャルメディアに投稿されたスウェーデンの奇妙な習慣が話題になり、「スウェーデンゲート(#Swedengate)」というハッシュタグで論争が巻き起こったのです。
発端となったのはインターネットの掲示板Reddit で「あなたが体験した最も奇妙な異文化は」というトピックへの投稿。
「子どもの頃、スウェーデン人の友達の家に遊びに行った時のこと。部屋で遊んでいたら、お母さんが夕食ができたよと声をかけてきた。そして次がびっくりなんだけど、みんなが食事をしている間、私だけ部屋で『待っててね』と言われたの!」

なんと、スウェーデンでは自分の子どもの友達が遊びにきても、よその子には食事を食べさせないというのです!これを巡って議論が巻き起こると、スウェーデン人からは同じようなことを経験したというエピソードがたくさん報告されました。
以下はスウェーデン人たちの投稿です。
「友人の家に泊まったとき、目が覚めると、友人が下の階に行くと言った。15分くらいして、様子を見に下に降りていったら、友人と家族が朝食をとっているのが見えた。彼は私を見て、食べ終わったら2階に戻るねと言ったの」
「こんにちは、私も子どものころに何度か経験があるよ。お金持ちの友達の親が、食事が終わるまで私を(一度は廊下で)待たせていた。母はそれを知って、二度と私をそこに行かせなくなった」
「子どもの頃にこのヘンテコな習慣を経験したよ。特に高収入の友人家庭では、食事に誘われることはなかったな。親の顔を見ることもなかった。私の家はシングルマザーで収入が少なかったけど、他の子どもたちがよく訪ねてきて、いつも何か食べ物を出していたんだけどね」
「スウェーデン人ですが、子ども時代は友達の家で家族がランチやディナーをしている間、ひとり別部屋で待っていた。最悪だったのは、遊んでいるときに友達がお菓子を食べても、友達のお母さんにダメと言われ、私はもらえなかったこと」

スウェーデン人たちのコメントによれば、スウェーデンには遊びに来た子どもに食事を出さない家が少なからずあるようです。この風習はどこから来ているのでしょうか?
いろいろな説明が為されています。遊びにきた子どもが自分の親と一緒に食事したいと思うかもしれないから。あるいは、他の家の子どもに食事を与えると、その子の家が生活苦にあると思っていると受け止められるから、など。

しかし、こうした言い訳はネット社会を満足させるものではありませんでした。
「スウェーデンゲート(#Swedengate)」というハッシュタグのもと、スウェーデン人はケチだ!冷たい!など、世界中から怒りと理解不能の声が噴出したのです。
「パキスタン人の彼女の家に行くと、ご飯を食べさせてくれるだけでなく、次の日の帰りにはお弁当まで作ってくれるよ」
「我が家に来て食事をせずに帰る人はいない。母は私の友人たち全員に食事を与えていた。みんなが食事をしているときに、隣の部屋で子どもがお腹をすかせて待っているなんて前代未聞!私から見ると、とても失礼なことだと思うけど……」
「ポーランドでは、いくらお腹が空いてないと主張しても、すべての親が食べることを強要するから(スウェーデンの文化は)理解できない」
「台湾の家庭ではママはこう言うよ:『ごめんね、1時間しかなかったから時間が足りなかった! もっと作ろうと思ったんだけどね。シンプルな料理ばかりで味はイマイチかも。鴨料理も作ればよかったね。でも食べて!!』」
“Mom, my friend is here. Can they stay for dinner?”
— Cindy Fan (@cindyisAWOL) May 29, 2022
Taiwanese household: “Sorry we only had one hour. Not enough time! We would have made more. Just very simple food, maybe not tasty enough. We should have made some duck. But please eat.” pic.twitter.com/RMv2qYLj2t
こんな感じで、世界各国の事例をひきあいに、スウェーデン文化に非難が殺到したのです。
日本は「おもてなし」(自称)の国ですが、この点についてはどうでしょう?
アレルギーの問題などもあるので、よその子どもに食事はあげる場合は相手の親の了承を得てからにしているという人もいるかもしれません。さすがに、お腹をすかせた子どもを1人で別部屋で待たせるのは可哀想な気がしますが、子どもに食事を出さないのは相手の親への配慮と考えれば、日本人には意外と理解しやすい心情なのかもしれません。
今回のスウェーデンゲートでは、憧れの国スウェーデンの意外な一面にたくさんの人が驚き、失望したようです。でも、世界には色々な文化があり、歴史的背景もさまざま。一面だけを見て、「ケチ」とか「冷たい」とかは一概に言えないようにも思えます。皆さんはどう思われますか?
プレビュー画像:©Getty Images
