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元バーテンダーの女性が性犯罪被害に遭い さらに周囲に責められた苦悩を告白

女性に対する暴力、とりわけ性犯罪の経験は、たとえ身体的に大きな被害がなくても、長期にわたる深刻な心理的傷跡を残します。できることなら一刻も早くあの日の出来事を記憶から消し去りたい…そう願う被害者も多いのではないでしょうか。声を上げ、事件を共有することはとてつもない勇気と強い意志を必要とします。

そんな勇気ある女性の一人が、数年前にバーテンダーとして働いていたときに起こった事件をTwitterで告白し、話題となっています。その後長年にわたり彼女を苦しめる事件の記憶、そして同僚たちからの反応を赤裸々に綴っています。

「以前、私はバーテンダーをしており、お店で一人になることがよくありました。ある日、閉店前にひとり残っていた客が、突然、店を片付けていた私の後ろに来て、私の下着に手を入れて、私を膝の上に引き寄せました。彼はもう片方の手で私の髪を触りながら『君もしたいんだろう』と言いました。まったくそんな気持ちはありませんでしたが、私は微笑んで恥ずかしがっているように振舞いました。もし彼を侮辱したら、最悪の事態になると思ったのです。

@Pixabay/Shutterbug75

私は、仕事が終わったら電話するから、とりあえず今は私を解放してくれるようにと彼をなんとか説得しました。彼が店を出ると、私はバーの片付けもせず、ドアに鍵をかけてすぐに帰りました。

翌日、そのことを同僚の男性に話すと『嘘をついて騙したのはまずいな。嫌ならその場で殴ればよかったのに。これだから女はずるいんだ』と批判されました。

10年経った今なら、私が嘘をついて相手を騙したのは、そうしなければ危険だという直感があったからで、そのおかげで私は無傷ですんだのだと言えます。

ただ、正確には私は”無傷”ではありませんでした。その後の私はそれまでのようには暮らせませんでした。あの男が怒って戻ってくるのではないかといつも恐怖に怯えていました。あの夜着ていた服は着るのをやめました。ポケットに常にペッパースプレーを入れて持ち歩くようになりました。一人でいるときは男性客の前を歩かないようにしました。

©Gettyimages

私は身体的には大きな被害を受けませんでした。でも、事件の恐怖に苦しみ、そして同僚たちからの批判がさらに私を苦しめ続けました。私があんな目にあったのは、私が曖昧なシグナルを送ったから。体にフィットしすぎるジーンズをはいていたから。髪に触られたのは、髪をゆるく下ろしていたから…。全部自分の責任だと思い込まされていました。

©Gettyimages

でも違います。私は何のシグナルも送っていない。テーブルを拭いたり、床を掃除したり、自分の仕事をしていただけ。女性にとって世界が安全な居場所であってほしいと願っていますが、実際はそうではありません。女性は男性の手によって恐怖を体験し、絶対にそうではないのに『自分が誘っていたのか』を何年も考え続けなければならないのです」

©Gettyimages

性犯罪はたとえ大きな被害がなくても、その恐怖は生涯忘れることはできないもの。そのうえ、被害にあった人が悪いかのように思い込まされてしまうのは本当に恐ろしいことです。もし性犯罪が身近にあった時は、悪いのは被害者ではなく加害者だということを声に出して伝えていくことが大切だと感じます。

プレビュー画像: ©Pixabay/Shutterbug75