レスキュー
体にロープが食い込んだ巨大ザメをダイバーが助けると…自由になったサメがまさかの行動に出る!
インド洋に浮かぶサンゴ礁に囲まれた島々からなる楽園モルディブ。白い砂浜と美しいクリアブルーの海は世界有数のリゾート地として知られています。
色とりどりの熱帯魚、マンタやジンベエザメが生息する美しい海は、世界中のダイバーの憧れのダイビングスポットでもあります。
そんな地球の楽園のように美しいモルディブ沖の海中で、2019年12月に起きたある出来事を紹介します。
その日、ダイビングインストラクターのシモン・ムスメーチとアントニオ・ディ・フランカはダイビング客を連れて、モルディブ沖のフヴァンムラ環礁でダイビングツアーのガイドをしていました。すると、彼らのボート付近を泳ぐ1頭のジンベイザメに気がつきます。なにやら違和感を覚えジンベイザメに注目すると…漁具の断片と思われるロープがジンベイザメの体に食い込むように絡まっていることに気がつきます。
シモンとアントニオは迷うことなく海に潜ると、体長7メートルほどのジンベイザメに接近しました。
ジンベイザメは二人に怯える様子はありませんでしたが、苦しそうに泳ぐその姿はまるで助けを求めているようでした。
「このまま放ってはおけない」
二人はさっそくジンベイザメの救助にとりかかります。他の多くのサメと同様にジンベイザメもエラで水中の酸素を取り込んでいるので、泳ぐことを止めると呼吸ができなくなってしまいます。呼吸をするために泳ぎ続けなければいけないため、二人もジンベイザメと一緒に泳ぎながらナイフでロープの切断を試みます。
しかし、泳ぎながら太いロープを切断する作業は想像以上に難しく、二人は10分間近くもジンベイザメと泳ぎながらロープと格闘します。
そしてついに…
二人はロープを切り離すことに成功!ようやくロープの呪縛から解放されたジンベイザメは悠々と泳ぎ去って行きます。
ジンベイザメを無事に救出し、歓喜に包まれるツアーの一行。しかし…そこで終わりではありませんでした。
そのまま海中に姿を消すかと思ったジンベイザメが向きを変え、なんと二人のもとへと戻ってきたのです。ゆっくりと至近距離で泳ぐジンベイザメの胸びれにシモンはハイタッチするかのように手で触れます。
それはまるでジンベイザメが恩人たちに「ありがとう」とお礼を伝えているかのような不思議な瞬間でした。
ジンベイザメの体には食い込んだロープによって刻まれた無数の傷が残っており、相当な苦痛を受けていたことが容易に伺えます。苦しみから解放してくれた二人に対して、ジンベイザメなりになんらかの恩義を感じていたのかもしれません。
救出の様子はこちらの動画からご覧いただけます:
二人が勤務するダイビングツアー会社「Macana Maldives」によると、こうした海洋生物が海中に残された網やロープに引っかかるケースは決して珍しくはないようです。私たち人間の都合で自然に暮らす生き物がいかに被害を被っているのか、人間が自然に及ぼす影響について改めて考えさせられる動画です。
このジンベイザメがどれほどの期間、ロープに捕われ苦しんでいたのかは不明ですが、無事に救出されて何よりでした。
プレビュー画像: ©️YouTube/MacanaMaldives