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自分の赤ん坊を見た母親は、子が死んでしまえばいいと思った。数年後、彼女は深く後悔する。
オーストラリアに住むロバート・ホージが44年前に生まれたとき、彼の母親は産まれたばかりの赤ん坊の顔を直視できなかったといいます。我が子の顔がどうしても「グロテスク」に思え、母親は1週間もの間、自分が産んだ赤ん坊を家に連れて帰るのを拒否し続けました。母親によれば、この子が死んでしまえばいいとさえ考えたこともあったそうです。
「この子、醜すぎる」
母親は妹に何度もそう話していたといいます。
Robert Hoge may not have looked like a “normal” baby when he was born in Australia 44 years… https://t.co/iv7K8EdyCC pic.twitter.com/DdJACPz6t7
— David Trender (@IceTrends) September 17, 2016
赤ん坊は鼻に巨大な腫瘍があったのをはじめ、体中に様々な障害を持って生まれてきました。しかし、出産直後の冷たい態度はあったものの、母親がロバートに見せる愛情はどんどん深くなっていきました。ロバートは母親が自分の人生に正しい道筋を示してくれたと考えており、深く尊敬しているといいます。
何度か家族会議を行った結果、母親は最終的にロバートを家に連れて帰ることを決断します。母親は息子の存在を認めただけでなく、ありのままの彼に深い愛情を注ぐようになったのです。
重い障害を抱えた子どもを正しく育てることができるのか、はじめは深い葛藤があったそうです。何よりも周りがロバートの容姿を見てどのような反応を示すかという点が、母親を最も悩ませました。見た目が原因でからかわれたりいじめられたりしてしまうのではないか、という心配が常にあったといいます。しかしそういった息子の状況もあってか、家族の絆はどんどんと深まっていきました。家族の中でも最年少であるロバートのために、全員が力を合わせ、助け合うようになったのです。
ロバートがまだ小さいころ、鼻にあった良性腫瘍は大手術の結果無事に取り除かれました。この手術によって彼の鼻の大部分が切り取られてしまったため、医師たちは後に彼のつま先の軟骨を移植して鼻を再建するという手術も行われました。
しかし残念ながら、彼の足は奇形がひどく進行しており、もはや治療の見込みはありませんでした。医師の判断によって彼の両足は切断され、義足を使ったロバートの新たな生活が始まります。
Ugly: My Memoir by Robert Hoge https://t.co/Np44dzNbbX via @amazon pic.twitter.com/i0n21bbX6Q
— GymBunsenBurner (@MeetTheTaskFast) September 18, 2016
やがてロバートが成長したとき、母親は自分がかつて書いていた日記を彼に読み聞かせることにしました。そのとき彼は初めて、当時母親が自分に対して抱いていた嫌悪感や苦悩について知ることになったのです。母親は、医師のアドバイスの元、自分の正直な思いを日記という形で記録してきていました。様々な悩みや考えとともに彼女はこう記していました。
「正直、私はこの子に対して愛情はまったく感じなかった」
当初ロバートは、自分の母親がなぜ初めから自分のことを愛していなかったのか理解できなかったといいます。母親の正直な気持ちを知ったショックのあまり、彼は突然悲しみや不安に襲われるようなこともあったそうです。
しかし、やがて彼は別の視点から母親の気持ちについて考えることができるようになったといいます。
「正直、色々考え込んでしまったり、不安に襲われたりってことが度々あったのは事実だよ。でも、ある日気づいたんだ。結局母親のこういった悩みも、映画に置き換えてみれば理解できるんだって。映画だって途中では悲しいことも辛いこともあるけど、結局終わりではハッピーエンドになるよね」ロバートは当時を思い返しながら話します。
しかし、現在44歳になったロバートは、母親に対しては温かい感情しかないといいます。
「素晴らしく愛情にあふれた女性で、色々と手をかけてもらった」
Author events: Robert Hoge discusses ‘Ugly’ at Naperville’s North #Events #News #Market https://t.co/lPDxsdSD15 pic.twitter.com/YnReQSmgZ5
— PrMediaLink (@PrMediaLink) September 19, 2016
30になったとき、ロバートは2人の娘を持つ父親になっていました。彼は母親との関係性があったからこそ、自分も子どもたちにとっていい父親になることができたのだといいます。現在ロバートは妻のケイティとともに、オーストラリアのウィンナムという町で暮らしています。
ロバートはその大きな障害をものともせず、各地を飛び回る生活をしています。彼はジャーナリストとしてキャリアをスタートさせたのち、公務員を経て現在は各地で公演を行いながら作家としても活動しているそうです。
A deeply personal story about owning your face. @RobertHoge @FaceEquality #mycharity https://t.co/k802p9Lk9t pic.twitter.com/7CS76IRX0I
— WeGiveIt UK (@wegiveituk) March 11, 2017
2013年、彼は自身の体験を元に「アグリー」(醜さ)という本を出版しました。この本の中で彼は、他の多くの人々に対してもありのままの自分自身の姿を受け入れてほしいと訴えています。さらに彼は、たとえ自分の容姿が社会で認められている美の基準に合うものではなかったとしても、自分の目指す目標を達成することは絶対に可能なのだと書いています。
ロバートは、自分の容姿を「普通」のものに戻すための整形手術はこれ以上受けるつもりはないとはっきり断言しています。普通の人であればこのような辛い人生に直面すれば心が折れてしまうかもしれません。しかしロバートはこの境遇をモチベーションに変え、素晴らしい成功を収めているのです。そして彼は、自分が「醜い」という事実を受け入れ、社会の美意識という価値観にとらわれることなく今も活躍しています。
