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18輪トラックが少女の命を奪った。その死から数カ月後、彼女がしたことが世界中の話題となった。

誕生日の日、子供たちは大きなケーキや色とりどりの風船、大好きな友だちに囲まれての楽しいパーティ、そしてプレゼントを楽しみにしていることでしょう。多くの子供たちが新しいおもちゃなどを心待ちにしている一方で、アメリカのワシントン州に住むレイチェル・ベックウィスは、9歳の誕生日のプレゼントに少し変わったものをお願いしました。

レイチェルはあるとき、世界には安全な飲み水を手に入れることができないために死んでしまう人がいるということを知りました。当たり前にあるものだと思っていた安全な飲み水は、どこでも簡単に手に入るものではなく、それで命を落とす人がいるという事実に少女は衝撃を受けます。

水へのアクセスが無く苦しんでいる人々に安全な飲み水を送りたいと考えたレイチェルは、自分の9歳の誕生日に集まった家族と友人にプレゼントの代わりに募金をして欲しいと頼んでみました。誕生日パーティが終わったとき、レイチェルは集まった募金を数えて肩を落としました。220ドルしか集められず、目標の300ドルに到達できなかったからです。

そのときレイチェルは、来年はもっと頑張って目標に到達してみせると母親に宣言していたそうです。

レイチェルの誕生日から1ヶ月後、家族を悲劇が襲います。

レイチェルの母親が運転する車が高速道路を走行中、交通事故に巻き込まれてしまったのです。前方を走っていた18輪の大型トラックが急停車したことによる、車14台を巻き込んだ大規模な玉突き事故でした。

母親は軽傷だったものの後部座席に座っていたレイチェルは重体で、命が危険な状態でした。

両親は集中治療室で治療を受ける娘が持ちこたえられるよう祈り続けましたが、事故から3日後にレイチェルが回復する見込みがないことが明らかとなり、家族は延命治療を取りやめるという厳しい決断を下します。 

レイチェルの死から数週間後、家族が暮らす地域の牧師がレイチェルが生前行っていた募金活動を地域住民に紹介しました。

これがきっかけとなり、生前レイチェルと母親が運営していた募金ホームページが再開されます。やがて世界中のすべての人々に安全な水を届けたいというレイチェルの思いは、インターネットを通じて多くの人々に伝わっていきました。そしてレイチェルの物語に心を打たれた人々から、寄付金が次々と寄せられるようになります。

そしてレイチェルの夢が実現します。

300ドルという彼女の目標を優に超えた、1,271,713ドル(日本円で約1億3千万円)という募金が集まったのです。その全てが37,700人に安全な飲み水を届けるため、エチオピアのある地域へと寄付されました。

レイチェルの死から1年後、母親と祖父がレイチェルが助けた人々に会うためエチオピアを訪れました。

Youtube/charitywater

そこで迎えてくれたのは、たくさんの笑顔と「レイチェル、そしてご家族の皆さん、きれいな水をありがとう」というプラカードを掲げた大勢の人々でした。

Youtube/charitywater

地域の教会の中にも、レイチェルの写真が飾られていました。

Youtube/charitywater

レイチェルの両親に同行した教会の関係者が、涙ぐみながらのスピーチを行ないました。

「私たちの教会と地域住民は、これからもレイチェルの家族を支え続けます。皆さんがこれほど敬意の気持ちを持ってくださることに、胸がいっぱいになります。今日は素晴らしいセレモニーをありがとうございました。私の心からの深い感謝の気持ちを受け取ってください」

Youtube/charitywater

レイチェルの願いによって、100以上の村に住む6万人の人々が安全な水を飲めるようになると予想されています。

地球の遠い場所に住む人々の生活を良くするために、レイチェルが贈った自分の誕生日プレゼントでした。

Youtube/charitywater

こちらは、レイチェルの物語をドキュメントした動画です。(英語音声のみ)

カル・ハベル井戸の記念碑には「レイチェルの偉大な夢、優しい心、彼女が描いたより良い世界は、私たちとともに永遠に生き続けます」と書かれています。レイチェルは後世に残る偉業成し遂げました。