ちえとくをフォローする

ジーンとくる話

ゾウは痛みを止めるため木に頭を押し付ける。彼がこれまでたどってきた道のりは信じられないものだった。

西アフリカの西部、大西洋岸に位置するジンバブエ共和国は数々の美しい国立公園を有しており、様々な野生の動物を遠くから観察できることで知られています。あるとき、国立公園の一つで働く作業員が、草原を踏み荒らすように歩く変わったゾウを発見しました。

作業員はこのゾウを注意して観察していましたが、やがてこのゾウの額の異変に気づきます。

どうやらこのゾウは、象牙を狙う密猟者によって額を銃で撃たれたようなのです。必死に逃げ回り、この公園の中に迷い込んだのでしょう。

作業員は獣医に連絡を取り、ゾウの状態を診察してもらおうとその場に呼びました。はじめのうちは獣医が近づこうとすると逃げ回っていたゾウですが、彼らは麻酔銃を使ってようやく捕獲することに成功します。

ゾウがその大きな体で地面に倒れ込むと、獣医は早速作業に取り掛かります。そして彼らはすぐに問題の箇所を特定。

彼らはゾウの頭から銃弾と損傷した部分の頭蓋骨を摘出することに成功しました。傷口を洗浄し、ゾウのサイズに合わせた抗生物質を投与します。

その後判明したのは、銃弾があと数ミリでも深く到達していたら、恐らくこのゾウは死んでいただろうということでした。

上:変形した銃弾、下;射入口

銃弾を受けながらも、幸いなことに作業員がすぐにゾウの異変に気づき、直ちに獣医を呼んだことがゾウの命を救ったのです。

このゾウは「プリティ・ボーイ」と名付けられました。麻酔から覚めたプリティ・ボーイは、頭痛でもするのか、しばらくしきりに木に頭をこすりつけていました。

しかし、すぐに彼は公園の中を再び悠然と歩き始めました。

密猟者に襲われてゾウが射殺されてしまう事件はあとを絶ちません。国立公園内では、すぐ追手がつくので、保護区の少し外でゾウが頻繁に殺されています。許せないことです。

プリティ・ボーイは完全に回復するまで、数年間、国立公園の中で過ごすことになります。一日でも早く傷が癒えることを願っています。