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ジーンとくる話

みんなこの犬は人を嫌っていると思っていた。でもこの獣医がケージの中に入り、それは違うと証明した。

アンディ・マティス先生はジョージア州エルバートンの獣医です。動物好きという一言で片付けられないくらい、彼は動物を愛しています。今までに何匹もの動物を助けてきましたが、今年の2月に出会った保護犬に、彼は心をこれまでないほど動かされたといいます。

ある日、一人の女性が一匹のメスのピットブル犬を病院に連れてきました。路上をうろついているところを保護された犬は怯え、ひどい栄養失調状態でした。オモチャや餌にも興味を示さず、触られるのを嫌い、少しでも音がすると怖がって隅っこに隠れてしまいます。人間からとても辛い仕打ちを受けたのでしょう。アンディが優しく手を差し出しても、ボールのように丸く縮こまってしまいました。まだ子犬のピットブルは、飢え、体温が低く、さらに子宮脱(しきゅうだつ)という病気で、子宮が体の外に出てしまっていました。

犬には手術が必要でした。しかし子犬であること、また、体力が非常に低下していたため、手術には非常に大きな危険が伴いました。そこで先生は病院のFacebookのページで「助けるべきか、このまま静かに眠らせてやるか、どうしたらいい?」という質問をフォロワーたちに向けて投稿してみました。

すると彼の同僚、友達、ページをフォローしてくれている人から、「諦めずに犬を助けて欲しい」と数々のコメントが寄せられました。また、「名前がないのはかわいそう」との意見もあり、アンディはすぐに「グレイシー」という名前を与えました。それからアンディはクレイシーの体調や体重、術後の経過などをネットで公開しはじめます。多くのファンが、グレイシーの回復を応援していました。

しかしグレイシーの治療にはお金が必要でした。なんと手術のために搬送された先の専門病院でかかった費用は、1日1150ドル(約13万円)。アンディは、ジミーと言う名の犬を記念して募金団体を運営していましたが、グレイシーの治療費にまわすことができたのはわずか750ドルでした。その後もどんどん費用がかさみます。

手術は無事成功しました。グレイシーは、峠を乗り越え、やがて食欲も戻り、少しずつ体力をつけていきました。

しかし、救出されてから日数が経ってもグレイシーはケージの中から出てこようとしませんでした。人や他の犬たちに触れられることをとても恐れていたのです。

そこでアンディは、ある方法を思いつきます。彼はグレイシーのケージに入って一緒に食事をとるようになったのです。

これが功を奏しました!やがてグレイシーはアンディの献身的なケアを受けながら回復へと向かい、施設のスタッフや他の犬たちとも交流するようになりました。こちらが現在のグレイシーです。すっかり元気なって、ボールで遊ぶのが大好きなんだとか。

特に同じピットブル犬のスィーティーとは大の仲良しです。

現在、アンディはグレイシーの親探しをしています。しかし、グレイシーの人間に対する不信感は今でも完全になくなったわけではなく、様子を見ながら慎重に作業を進めているそうです。たくさんの友だちに囲まれた施設での生活も心地よさそうですが、近い将来、グレイシーにも素敵な家族が見つかるといいですね。

グレイシーの日常やアンディ・マティス先生の活動は、彼のFacebookページで見ることができます。