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「お父さんにもらったやさしいうそ」子供の可愛らしい作文かと思って読んでいたら…

子供の作文はいつ読んでも面白いもの。自由な発想で、日常の風景を大人が考えもつかなかったような角度から子供らしい感性で切り取って、可愛らしい文体で伝えてくれますよね。

しかし、今インターネットで大きな話題を呼んでいる作文は、少し毛色が異なるようです。

「おとうさんにもらったやさしいうそ」…そんなタイトルの作文、読んだ後、みなさんの子供の作文に対するイメージが変わってしまうかもしれません。

実際にその作文をお読みください。

Twitter/Alfons226

作文を書いたのは、茨城県の小学校1年生、佐藤亘紀(こうき)くん。

「おとうさんはちょっととおいところでしごとをすることになったから、おかあさんとげんきにすごしてね。」…それが亘紀くんがお父さんから聞いた最後の言葉でした。

亘紀くんはその時2歳だったので直接言われたことは覚えてはいませんが、その時の動画がしっかりとスマホに記録されているので、いつでも好きな時に聞くことができるのです。

「このふつうにおもえることばがぼくのこころにひびいたりゆうは、じつはこれがおとうさんがついたうそだったからです。このことばの一しゅうかんごに、おとうさんははっけつびょうでしんでしまいました。」

 

「おとうさんは、あえないあいだにぼくがかなしまないように、わざとうそをつきました。うそはふつうよくないけど、これは、おとうさんがぼくのためについてくれたやさしいうそだとおもいます。このことばをどうができくと、おとうさんにあってみたくてすこしかなしいきもちになります。でもかなしいだけじゃなくて、かなしませないようにうそをついてくれたおとうさんのやさしさをおもって『がんばろう!』とおもえます。おとうさんがしんでしまったことはしっているけど、おとうさんのうそがほんとうになって、いつかよるおそくにドアのまえで『ドアをあけて。かえってきたよ。』といっているおとうさんにあいたいです。こうおもえるのも、おとうさんのやさしいうそのおかげです。」

 

「ぼくからおとうさんにつたえたいことがあります。『おとうさん、うそがばれてるよ! だってまわりにびょういんのどうぐがいっぱいあるし、おとうさんがよこになっているし、めからなみだがちょっとだけでているし、こえがさびしそうだから。』でもぼくは、だまされているふりをしつづけようとおもいます。

 おとうさんがやさしいうそをついてくれたおかげで、ぼくのこころはつよくなれています。これからもおとうさんのことばをまもっておかあさんとげんきにすごしたいです。おとうさん、やさしいうそをありがとう。」

 

…思わず、言葉が詰まってしまいます。病で天国に旅立ってしまったお父さんとの別れを綴ったエピソード。

お父さんは、息子のために、悲しませたくない一心でこんな嘘をついたに違いありません。その時のお父さんの気持ちを想像すると、胸が締め付けられそうになります。

しかしその思いを幼いながらにしっかりと受け止め、お父さんのために、だまされているふりを続けよう。そんな風に強く、前向きに生きようとする亘紀くんの健気さ、そして、逞しさに、多くの人々が心を揺さぶらりました。

Twitterの人々の反応

いかがでしたか?

この作文は日本語大賞 文部科学大臣賞(小学生の部)を受賞しました。当然の結果と言えるでしょう。

亘紀くんが誰よりも美しい感性と、そして成熟した深い優しさを持っていることは、その文章を読めば明らかです。きっとこれからも、お父さんからの優しい嘘をそっと胸にしまいながら、お母さんと支え合って生きていくのでしょう。

プレビュー画像:  / © Twitter/ Alfons226

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