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【結婚80周年記念日の前夜】「ハロー」しか言えなくなってしまった妻に、夫が手を差し伸べて伝えた言葉に心打たれる。
米・NY在住のアーサー・セオドア・ジェイコブスと、マルシア・フォックス・ジェイコブス夫妻にとって、今年は人生の大きな節目を迎える年となりました。日本では「樫(かし)婚式」と呼ばれる結婚80周年記念日を翌日に控えた夜、夫のアーサーは妻マルシアの手を取り、ある言葉を伝えます。
夫妻の孫で孫であり映画監督のあたるゲイブが感動的な瞬間を記録しました。
病院のベッドに横になるマルシアは、意思疎通が困難になっており、孫のゲイブが「おばあちゃん、わかる?この人誰だかわかる?」とアーサーを指して問いかけても「ハロー 、ハロー」と繰り返すばかり。話しかけられている言葉を理解している時もあるようですが、会話ができなくなってしまい、「ハロー、ハロー」や「オーケー」という言葉しか話せなくなってしまっているのです。
「ハロー、ハロー」
そう答えるマルシアに、そっと手を伸ばすアーサー。
アーサーはマルシアを愛おしそうに見つめ、妻の手をぎゅっと握ってこう言います。
「愛している。80年間、ずっと愛してるよ。なんて長い時間なんだろうね」
今にも泣き出しそうなアーサーの表情から、マルシアへの限りない愛情が伝わってきます。
105歳のアーサーと100歳のマルシアは、今から80年前、1937年に結婚しました。
Facebook/The Dirt Farmer Foundation
ウイスコンシン大学在学中に出会った2人は、2人の子供に恵まれ、6人の孫と2人のひ孫がいます。戦時中には農業、産業及び軍需の調整委員会で働いていたというアーサーは、ミシガン大学で経済学博士号を取得。マルシアは、ニューヨークでソーシャルワーカーとして地域社会のために長年貢献してきました。
「まだ20歳だった君と恋に落ちて、結婚した」
アーサーの言葉にマルシアはパッと何かを思い出したかの様に笑顔になり、笑います。しかし、やはり「ハロー、ハロー」の言葉しか出てきません。
「その頃、君はまだ学校に行っていて、、」
アーサーが言葉を継いだそのとき、マルシアはアーサーの手にそっとキスをします。言葉にはならなくても、これ以上の返答はないでしょう。
そして、マルシアはこう続けました。
「ハロー、ハロー。ハロー、ハロー。ハロー、ハロー」
アーサーは妻の手を優しく撫で続けながら、80年間を共にした人と意思疎通ができなくなった寂しさを伝えます。
「君がいなくてさみしいよ。君がいつでも恋しいんだ」
言葉は噛み合わなくても、そこには深くて優しいコミュニケーションが存在しているように思えてなりません。
切なくも美しい2人のやりとりを、動画でもご覧ください。
ゲイブは動画に添えて書いています。
「アーサーは、素晴らしい夫でマルシアのことを心から愛してるんだ。アーサーがマルシアと意思疎通ができないことをどれほど悲しんでいるか、傍目にもわかる。こんなに素晴らしい人たちの血を受け継いでいることを光栄に思うよ。」
マルシアとアーサーは、全米で最も高齢の夫婦のうちの1組だそうです。苦しい時も辛い時も、80年という長い年月を手を取り合って歩んできたこの2人の姿こそ、永遠の愛そのものの姿といえるかもしれません。
