中国で増える寝そべるだけの若者 「寝そべり族」

ニートや引きこもりは、日本で大きな社会問題となっています。

働くことはもちろん、健全な社会活動を営むことを拒否するかのような若者たち。その背景には、過酷な受験競争、就職、そして長時間労働などの強い重圧に対し、経済の停滞により明るい未来を見込めない現在の日本の状態があります。

「どうせ頑張っても無駄なんだ…」と、若くしてそんなあきらめの境地に達してしまい生きる気力を失っている、そんな若者も多いのです。

しかしそうした「あきらめる」若者の姿は、日本特有というわけではないようです。

今、中国の若者の間で起きている現象がメディアに取り上げられ、大きな話題を呼んでいます。

実際にそのツイートをご覧ください。

中国で今、ものすごいスピードで存在感を増している若者の集団…その名も「寝そべり族」。

文字通り、だらっと寝そべって、何も求めない。そんな無気力な若者が、増していると言うのです。社会活動に参加したがらない若者のグループであれば今までも存在したかもしれませんが、寝そべるだけで時間を過ごすグループは聞いたことがありません。

ことの発端は、とあるネットユーザーが、「寝そべりは正義だ」という文章を発表したことだと言われています。その人物は、2年間も仕事はしていないが全く問題はないと豪語します。

「1日2食にすることで食料問題は解決するだろう。消費は毎月200元(3500円程度)以内に抑え、お金がなくなれば1年のうち1〜2か月仕事をすればいい。ふだんは家で寝そべり、外で寝そべる。猫や犬のように寝そべっている」

車も要らないし、家も要らない。もちろん子供も要らない。そんなものの為に頑張って働く人生はまっぴらごめんだ。消費は最低限にして、最低限働く生活がいい。

「寝ていれば転ぶこともない…」

まさに低欲望社会を象徴するかのような行動を集約したのが、寝そべり族なのです。

中国で寝そべり族が増えた背景には何があるのでしょうか。

中国では、1979年に夫婦1組につき1人しか子供をもうけることを認めない「一人っ子政策」を導入してから、少子高齢化が一気に進みました。2016年には規則を緩め、「二人っ子政策」に転換しましたが、それでも少子化に歯止めがかかることはありませんでした。(2021年には「三人っ子政策」が発表されました)

結果として、若い世代には上の世代を支える重い重圧がのしかかっています。

さらに中国の猛烈な経済成長に伴い激烈な学歴、競争社会になったため、「負担は多いが得るものが少ない」…そんな状況の中で疲弊した若者たちが、次々と寝そべり族になっているのです。

興味深い傾向としては、寝そべり族の中には多くの高学歴の若者も含まれているという点です。学歴の点では「勝ち組」であるはずの彼らでさえも、必ずしも人生が安泰とは限らない。それならば最初から、過酷な競争からは離れ、例え多くのお金を稼げずとも、ゆっくりと生きられる道が良い…そんなことを考えているのではないでしょうか。

寝そべり族という現象は、「若者がただ怠けている」と簡単に語れるようなものではないでしょう。これは社会構造の問題であり、若者たちの暴力を使わない必死の抵抗であり、叫びなのかもしれません。

いかがでしたか?

寝そべり族自体は最近増えてきたものですが、けれども起こっていることの本質は、日本の若者の姿と驚くほど重なって見えないでしょうか?

アメリカにはFIREと呼ばれる、資産を作って早期リタイアする若者が増えたり、韓国では「七放世代」と呼ばれる、「恋愛」「結婚」「出産」「就職」「マイホーム」「人間関係」「夢」のすべてをあきらめる若者が出てきていると言われています。

このように、経済が頭打ちになり収入などが親世代を超えられず、それとは違う価値観を模索する若者が増えているのは世界的な傾向なのかもしれません。今、全く違う方向へ舵を切り出す、社会の大きなパラダイムシフトが求められているのかもしれません。

プレビュー画像:  / © Twitter/ beConjuror

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