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えらい

アフガニスタンで命を落とした中村哲医師は、飛行機の尾翼になって大空を飛んだ。その理由に胸が締め付けられる

混迷が続くアフガニスタンで、「名誉市民」の称号を与えられた日本人がいたことをご存知ですか?その人は医師の中村哲さん。

長年アフガニスタンで農業支援や貧困層への医療支援を行っていた中村哲さんですが、2019年12月4日、東部ナンガルハル州ジャララバードで武装勢力に銃撃され命を失っています。

中村さんは、アフガニスタンで井戸の建設などに取り組む非政府組織(NGO)「ペシャワール会」を率いており、今回の痛ましい事件は灌漑(かんがい)用水事業の進行を確認していた際に起きたとされています。

激しい干ばつに襲われ砂漠化が急速に進むアフガニスタンに、2003年から用水路を建設してきた中村さん。福岡県のほぼ半分に当たる1万6500ヘクタールの砂漠化した土地を潤し、緑の土地に変えてきました。こうした長年の人道支援が評価され、アフガニスタン政府から名誉市民の称号が贈られていたのです。

中村さんの訃報にアフガニスタン国民だけでなく、世界中の支援関係者から哀悼の声が届いた中、アフガニスタンの航空会社カーム航空(Kam Air)示した追悼の意に世界中から称賛の声が集まりました。それがこちら。

中村さんの肖像画が機体の一部に描かれています。写真と共に中村医師への感謝のメッセージも添えて…

「アフガニスタンの人々に奉仕してくださった方が、残念ながら奉仕活動中に亡くなりました。
故中村博士、アフガニスタンの人々はあなたのご活動に感謝し続けるでしょう」

このカーム航空の投稿に日本からも感謝のメッセージが。

「カーム航空とアフガニスタンのみなさん、ありがとうございます😊日本人として誇らしく、そしてアフガニスタンの人々の暖かさを感じました。中村医師が天国からアフガニスタンを見守っていることと思います」

「カーム航空、そしてアフガニスタン、ありがとう。とても悲しいニュースでしたが彼の死を受けてアフガニスタンの人々の優しさに心をうたれました。きっと中村医師が天国からアフガニスタンの人々を見守ることでしょう!!」

これら多くのコメントに中村医師の存在の大きさを改めて実感します。また、中村医師の遺体が日本に着くその日、在日アフガニスタン人たちは哀悼の意を示したいと成田空港に集まりました。空港ロビーに在日アフガン人約60人が集まり、「感謝と謝罪の気持ちを伝えたい」と花束や中村さんの写真を手に死を悼んだそうです。

なお空港の駐機場で棺に黙とうをささげたバシール・モハバット駐日大使は「守れなくて、こういう結果になって残念で、お悔やみ申し上げます。アフガン人はみんな中村先生のことを愛していたのでみんな泣いている。アフガン人それぞれの心に英雄として永遠に残るでしょう」とコメントしています。

またアフガニスタンのセディク・セディッキ大統領報道官もツイッターで、「(中村さんは)アフガニスタン国民の生活を変えることに一生を捧げた」と哀悼の意を表しました。

20年以上に渡りアフガニスタンに平和の礎を築こうと医療、農業支援を行なってきた中村さん。彼の意思が今後も引き継がれ、いつの日かアフガニスタンに平和が訪れますように。
中村哲さんのご冥福を心からお祈りいたします。

プレビュー画像:©︎Facebook/Wear Orange