ミイラ化した動物が展示されていたガザ地区内の「世界最悪の動物園」のその後

昨年の半ば、ガザ地区のカーン・ユニス動物園の檻の中では「ラジズ」と名付けられた虎がうろうろと同じ場所を行ったり来たりしていました。 ラジスはお腹を空かせ、餓死寸前の状態でした。この動物園には動物をきちんと養うだけの資金がなく、動物たちには十分な餌が与えられていませんでした。動物園全体にいた250頭の動物のうち、生き残ったのはラジスを含むたった15頭だけでした。

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2008年、紛争によって引き裂かれたこの地域の住民のためにとオープンされたこの動物園に暮らしていた動物たちは、そのほとんどがエジブトから密輸されてきました。2008年の12月から激しさを増した空爆のため、従業員達が動物園内に来ることができず、動物たちは置き去りにされたのです。これは2016年に公開された、動物園の姿です。

政府は動物を保護できるような状態ではなく、動物たちを無残な死へと追いやってしまいました。動物園の飼育係がようやく無事に戻ってこれたとき、目にした光景は悲惨なものでした。

オーナーたちは、太陽の下で風化された動物たちをその哀れな姿のまま剥製化し、檻の中に残すことにしました。それは、背筋が凍るような追悼碑です。極度に乾燥した気候の下、動物の死骸は体は非常に湿気ることなく、苦悶の表情を残したままの姿で展示されています。

ミイラになった動物でいっぱいの動物園には、不気味な空気が漂います。一つひとつの檻が、悲しい現状を伝えています。

餓死、または脱水死したと思われる、硬い外皮だけが残ったワニの死骸です。

こちらは、動物園の当時の様子を捉えた映像です。

生き残った動物たちの苦しみは、その後も続きました。

ガザ地区では動物園を監督する行政の実体がなく、市民レベルの動物愛護運動も存在しません。施設のオーナーは餌をどうやって工面するか、また墓場と化した動物園をどうやって維持していくかなど、最低限のケアをすることができなかったのです。

このままでは残りの15頭の動物も無残な死を遂げてしまうことが懸念されていましたが、飼育係たちはこの悲惨な現状を外国メディアを通して世界中に発信することで、残った動物たちを守ろうと一生懸命頑張りました。

その結果、助けの手が差し伸べられることになります。

世界各地の動物保護団体によって、生き残った動物たちとガザの状況を支援するための緊急募金を開設されました。そして2016年8月、アメリカの動物保護団体「Four Paws」によって生き残った動物たちが救出されました。地獄の動物園から解放された動物たちは、その後それぞれが世界各国の野生動物の保護地区へ移送されていきました。

トラのラジズはその後、南アフリカにあるネコ科動物の保護施設で新しい生活を始めています。

現在は体重も毛並みも戻り、自然により近い環境で穏やかな暮らしを送っているそうです。

生き残った動物たちが、危機を乗り越えられてなによりです。世界が心を揺さぶられた「世界最悪の動物園」は、動物たちが移送された後、閉館を迎えています。

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