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【なんやこの仕事?!】昔はお馴染みだった奇妙な職業10

近い将来、AIの導入により47%の職業が人工知能に取って代わられると予測されています。技術の進化にともない、様々な仕事がロボットに置き換えられなくなると言われており、一体どのような職業が生き残るか、消える職業と残る職業について関心が高まっています。

しかし、技術の進歩に伴う「職業の消滅」は何も現在に始まったことではありません。長い歴史を振り返れば、多くの職業が姿を消しているのです。今となっては到底想像もつかないような昔の不思議な職業10を紹介します。

shutterstock/Neveshkin Nikolay

1. 航空機盗聴士

飛行中の航空機を探知するレーダーが開発されたのは1930年代。第二次世界大戦中の1941年、イギリス空軍により世界に先駆けて実用化され、レーダーを使った防空システムの整備によりドイツ空軍の夜間爆撃を封殺しました。レーダーが用いられる以前の航空機の位置探知方法は耳。ひたすら注意深く耳で聞き取っていたのです。

Prosthesis

画像のように両耳に集音効果のある器具を取り付け、遠い上空を飛ぶ航空機の音を収集し航空機を早期発見に努めていたのです。

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2. トイレ屋

コンビニや大型店舗、駅など、現在の日本ほど簡単にトイレが見つかる国は他にありません。海外旅行先でトイレ探しに一苦労したなんて人もいるのではないでしょうか。

18世紀のヨーロッパでは出先で催した際、蓋つきの桶を天秤棒を担いだマスク姿のトイレ屋さんに声をかけ、覆いやついたての陰で桶の中に用を足すことができました。

shutterstock/Pierre-Olivier

3. ヒル収集家

紀元前1000年頃にエジプトで始まったとされる瀉血療法。中世や近世のヨーロッパでは効果的な治療法と信じられており、発熱や腹痛、咳や下痢などあらゆる症状の治療に用いられました。

19世紀初頭には切開による瀉血に替わり、ヒルなどの吸血動物に血を吸わせる瀉血法が定番となります。需要に応じた十分なヒルを調達するため、ヒル収集家は湿原や野原で我が身を囮にしてヒルを収集しました。仕事は季節限定でしかも低賃金。職業病として、ヒルの吸血による失血症状や感染症に悩まされることが多かったとか。

shutterstock/Sergey Chirkov

4. ピンボーイ

ボーリングの自動ピンセッターが特許を取得したのが1941年。それまではピンを一本一本手作業で立てていました。「ピンボーイ」と呼ばれる少年達がこの業務にあたりました。

Wikimedia Commons/public domain

5. おしっこ洗浄業

古代ローマでは小便は洗剤として利用するため週に1度、作業員によって回収され、洗濯場に収集されていました。尿に含まれるアンモニアなどの化学物質には洗浄作用があり、石けんなど洗剤のない古代ローマ時代では皮脂などの脂汚れを落とすために、尿が重宝されていたのです。ウェスパシアヌス帝は公共トイレや家庭トイレから回収された尿の取引を課税対象とし、かなりの税収を得ました。

Wikimedia Commons/public domain

6. タイプセッター

コンピューターが普及する以前、本や新聞の作成にはタイプセッターが金属製のアルファベット型を一文字ごとにセッティングしていました。出版業界のデジタル化に伴い、1998年にタイプセッターの職業はなくなりました。

Wikimedia Commons/Bundesarchiv/CC-BY-SA 3.0

7. 葬式道化

中世やルネサンス期、ヨーロッパの王侯貴族は道化師をエンターテイナーとして召抱えていました。道化の歴史は古く、古代エジプトのファラオに仕えていたという記録も残っています。

古代ローマでは葬儀に道化が呼ばれ、故人の生前の仕草や言葉などを真似る役を果たしました。参列者に故人を偲ばせると同時に楽しませる葬式道化は葬儀に大変力を入れた民族として知られる古代ローマ人にとって欠かせない存在だったのです。

Wikimedia Commons/public domain

8. 代理で鞭で打たれる役

かつて欧米の家庭や学校では体罰として鞭打ちが日常的に行われていました。いたずらをしたとき、言うことを聞かないとき、失敗したときなど、些細な理由で子供達は鞭で叩かれていたのです。「鞭は教育に不可欠なもの」の思想のもと、まかり通っていた鞭打ちですが、上流階級の子供の場合は話が別だったようです。封建時代のヨーロッパでは、教師は自分より身分が上の王族の子供に体罰を与えることは許されていませんでした。そのため、代わりにその子供よりも階級の劣る別の子供を鞭打ったそうです。とはいえ、代理で鞭で打たれる少年と高貴な身分の子供は仲の良い友人同士であるケースが多かったそうです。自分の代わりに友人が体罰を受ける姿を見て反省を促したということでしょうか。

Wikimedia Commons/public domain

9. 剣闘士(グラディエーター)

古代ローマで見世物として闘技場で生死をかけて戦うショーバトルを繰り広げた剣闘士。剣闘士のなり手は当初は戦争捕虜や奴隷、犯罪者が大半を占めましたが、10人中2人の割合で自ら志願した自由民出身者も含まれていました。また、全盛期には騎士階級や元老院階級の上流家庭出身者が試合に出場した事例もあります。

多くの剣闘士は剣闘士養成所で長期間の厳しい訓練を経て闘技会に出場しました。年間試合回数は3回か4回ほどで、20戦ほどを経験するまでに死ぬか自由を得て引退ことができましたが、実際に複数の試合を生き延びて引退できたのは20人に1人程度だったと推測されています。剣闘士試合は民衆から熱狂的に支持され、勝ち続ける剣闘士は観衆の喝采を浴びるスター的存在であり、多額の報酬と快適な住環境を与えられました。奴隷出身の剣闘士の中には、引退後も現役時代の栄光が忘れられず、また剣闘士に戻る者もいたそうです。

shutterstock/David Gonzalez Rebollo

10. 気送管ポスト

圧縮空気管を使用してシリンダーに入れた手紙を送る気送管ポストは、欧米の大都市で19世紀後半から20世紀初頭にかけて用いられた輸送システムです。建物内を走る気送管は長いものでは全長1キロ、ドイツの首都ベルリンでは市内に張り巡らされた気送管ネットワークの長さは合計400キロにも及びました。

現在も病院や宿泊施設などで薬品や書類などの輸送に使われています。

Wikimedia Commons/Bundesarchiv/CC-BY-SA 3.0

現代では想像もつかないような様々な職業。その時代背景をそれぞれ象徴しているようで興味深いですね。

プレビュー画像: ©️brightside.me/wonder-curiosities