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最愛の人と結婚した新婦、そして新郎は13時間後に息を引き取った。

英国ブリストルに暮らすミシェル・ホワイト(32歳)とスコット・プラムレー(41歳)は特に結婚を急いでいたわけではありませんでした。2年間の交際を経て婚約した二人は、理想の結婚式を挙げるために少しずつ貯金をしていました。しかしスコットが病魔に侵されていることが発覚すると、事態は一変してしまいます。

4週間も酷い胃痛を訴えていたスコット。ある日一緒に暮らすアパートで卒倒してしまったスコットに気づいたミシェルはすぐに彼を病院へと連れて行きます。診察した医師はただちにスコットを入院させました。スコットは進行性の食道ガンを患っていたのです。ガンは既に肝臓に転移しており、その大部分を蝕んでいました。もはや手の施しようのない状態だったのです。

「担当医に彼の余命を尋ねると、医師の答えは私が覚悟していた数ヶ月よりも遥かに短いものでした。彼に残された時間はせいぜいもって1〜2週間、もしかしたら数日間だけかもしれないと宣告され、打ちのめされました」

ミシェルとスコットはすぐに二人の愛の証として結婚式を挙げる決意をしました。時間が限られた今、できる限り早く全ての準備を整えければいけませんでした。結婚決意から24時間後には式の準備が完了し、ミシェルは連れ子二人とともに、入院中のスコットの元へと向かいます。

「周囲のサポートもあり、式の手配は全て迅速に行われました。友人達にウェディングブーケとウェディングケーキを担当してもらい、ご近所さんにヘアセットをしてもらいました。全て皆の協力のおかげです」

親類や友人が駆けつけ、病室のスコットに別れを告げるとともに二人の結婚を祝福しました。見るからに痛々しい姿の新郎スコットは式の間車椅子に座ったままでした。しかし式を司る戸籍局の担当者がスコットにミシェルと結婚したいか尋ねると、彼は力強くイエスと答え、「強く望んでいます」と付け加えました。

死が二人を別つまで愛し合うことを誓ったミシェルとスコット。近い将来この別れが訪れることを知っている参列者たちは感極まる思いで式を見守りました。

新婚の二人は結婚後初めての夜を病室で二人っきりで過ごしました。

「彼の横に座り、彼の手を握り互いに微笑んでいました。彼はずっと自分の病状を謝り続けるか、愛してると言い続けるかのどちらかでした。私は『大丈夫だから』と答えるしかできませんでした」

午前1時30分、スコットは新妻の腕の中、息を引き取りました。わずか13時間の結婚生活。ミシェルは結婚式の翌日に未亡人になってしまったのです。それでも、短いながらも愛するスコットとともに人生を歩んだひとときにミシェルは心から感謝しています。

「彼の妻でいられたのはたった13時間だけでしたが、素晴らしい家族を持つことができました。彼と過ごした2年間は素晴らしく幸福なものでした。最後に彼の望みでもあった式を挙げることができたのがせめてもの救いです」とミシェルは語っています。

最愛の人を失った悲しみと喪失感は大きなものですが、最後に二人の願いを実現することができて何よりでした。スコットの冥福を心からお祈りします。