9回流産を繰り返した妹のため、代理母になった姉

メリッサ・カイザー(33歳)は母になることを切望していました。子宝に恵まれず、メリッサが諦めかけたとき、姉から思わぬ申し出がありました。
メリッサとパートナーは子供を授かるため、3年間妊活に努めました。不妊治療に通い、体外受精も受けましたが、9回にも及ぶ流産を繰り返したのち、メリッサは医師から子供を望むのであれば代理母出産を検討するようにとアドバイスを受けました。
「精神的に打ちのめされました。というのも、出産という女性ならではの命を育む役割を果たせる性別に生れながら、それができない自分がまるで出来損ないであるかのような錯覚に陥ってしまっていたのです。実際には決してそんなことはないのに、正常な判断ができる精神状態ではありませんでした」とメリッサは当時の絶望に駆られた心境を回想しました。
「他の女性が私の子供を妊娠する状況に情緒的にも耐えられるかさえ分からないほど、精神的に参っていました」
そんなメリッサには3歳上の姉、リサ・オートンがいました。
メリッサとは対照的にリサは子供を望んではいませんでした。しかし、ひどい絶望状態の妹の姿にリサは胸を痛めていました。
「希望を失い、喪失感から抜け出せない妹をただ見守るだけではいられませんでした。心に大きな痛手を負い、子供を切望する妹が母になる手助けをすることができるなら、なんとかしてあげたい、そう思ったんです」リサは語っています。
体外受精を受けてから2週間後、リサが双子を妊娠していることが確認されました。
「合併症もなく、姉の妊娠期間は順調でした。超音波検診にはいつも付き添い、姉のお腹に触れて赤ちゃんの胎動を感じることができました。性別判定をし、この妊娠出産を楽しく記憶に残るものにしようと心がけました」とメリッサ。
誕生した愛らしい双子の姉妹もメリッサとリサ同様に特別な絆で結ばれているようです....
妊娠期間を楽しんだリサですが、それでもやはり今後も自分の子供は望んでいないようです。
「自分が母親になるなんて想像もできないんです。確かに妊娠状態を楽しむことはできたけど、だからと言って考えが変わったわけではないんです。叔母になるだけで十分に光栄です」とリサは語っています。
メリッサとリサの姉妹は以前にも増して強い絆で結ばれています。
「一部の女性から『子供を持って初めて本当の愛を知った』なんて聞かされるたびに、いつも居心地の悪い思いをしていました。そんな相手によってはときに無神経に響く言葉に振り回される必要はないけれど、娘たちの誕生によって私の心は満たされたのも事実です。姉の献身には言葉では言い表せないほどに感謝しています。私たち夫婦に子供を授けるために、姉は貴重な一年を捧げてくれたのです」とメリッサは感謝の気持ちでいっぱいです。
メリッサとリサの物語はこちらから視聴できます(英語音声のみ):
実に素晴らしい姉妹愛ですね。母体への負担を厭わず、双子を授けた姉の行動から妹への深い愛情が伝わります。固く結ばれた家族の絆を象徴するような姉妹の物語、きっと愛らしい双子の姉妹にも語り継がれていくことでしょう。