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えらい

洞窟探検愛好家が地底から迷い犬を救出

洞窟といえば、日本では鍾乳洞など観光用にライトアップされたものを想像しますが、海外では自然のままの洞窟をヘルメットやヘッドライトを装着して探検するのが人気のアウトドアスポーツになっています。

閉所恐怖症の人には無理ですが、岩壁に囲まれた暗い通路を歩き回り、ときに岩壁を登ったり、狭い通路を這ったりする冒険はワクワクドキドキの連続。ハマる人がいるのもわかります。

さらに、洞窟探検家たちは暗い洞窟でまったく予期せぬものを発見することもあるのです。

米ミズーリ州在住のリック・ヘイリーは、洞窟探検を趣味とする教員です。その日は同州にあるトム・ムーア洞窟の迷宮を歩いていました。洞窟の地図作成プロジェクトに参加していたのです。

そこに、同じく洞窟探検に訪れていた親子連れのグループから「洞窟の底に犬がいるようだ」とSOSが入ったのです。ベテラン探検家のリックは仲間と二人で狭い洞窟を這いながら犬救出に向かいました。そして、地底深くで、懐中電灯の光に照らされ、何かが動いているのを発見。洞窟の隅で小さな犬が寒さと疲労で震えながら丸まっていたのです。「犬はかなり衰弱していた」とリックは回想します。

骨と皮だけに痩せ細り、弱り切った犬は自分の足では歩けません。リックたちはその犬を安全に地上に連れ出す道具を何も持ち合わせていませんでした。

2人はしかたなく怯える犬のそばに灯りをつけた懐中電灯を置くと、装備を整えてもう一度戻ろうと急いで来た道を戻りました。

その後、リックたちはキャリーバッグを持って戻ります。中に毛布を敷き、犬を慎重に入れて頭だけ出し、抱えて洞窟から運び出そうと考えたのです。

幸い、地下を150メートルほど進んだところで地上に抜ける風穴を発見しました。一行は急な岩場を時にはほぼ垂直に登り、犬の入ったバッグをバケツリレーのように手渡しながら、最後まで登りきりました。犬は危険な上り坂の中でも落ち着いていて、人間が安全な場所に連れて行ってくれると信頼しているようでした。

救助を始めて約1時間後、ついに陽の当たる場所に犬を下ろすことができました。リックは「ヤツは外に出られてとても嬉しそうだったよ」と語っています。

犬を救助したリックらは消防隊に連絡し、迷い犬の飼い主を探し始めました。消防隊員とともに、近所の家を一軒一軒訪ねて、犬が行方不明になっていないかどうか尋ねたのです。

そして、ついに飼い主が見つかりました。驚くべきことに、その犬「アビー」が行方不明になって2カ月近くが経過していました。どうやってそんなに長い間、水も食べ物もない洞窟で生きのびられたのか、なぜ洞窟の奥深くに入り込んだのか、今となっては知る由もありません。

冒険家たちが犬の命の火が消えないうちに洞窟に立ち寄ったことは、本当に幸運でした。この冒険はまさにハッピーエンド。アビーは飼い主の元で順調に回復しているそうです。

出典: reshareworthy
プレビュー画像:© Facebook/Rick Haley © Facebook/Rick Haley