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ジーンとくる話

死期の迫った高齢チンパンジーを訪れたのは、かつての飼育員。再会時の反応に目頭が熱くなる。

 59歳の雌チンパンジー、ママはヨーロッパで飼育されている中でも最高齢のチンパンジーでした。チンパンジーの飼育で名高い、オランダのアルンヘム王立バーガー動物園の長老的存在でもありました。

しかし、ママの命の灯火は尽きようとしていました。健康状態が悪化し食欲がなくなり、藁のベッドで一日のほとんどを過ごすようになっていました。

Youtube / Jan A R A M van Hooff

生物学者であり、動物園のチンパンジーコロニーの創設者であるジャン・ヴァン・ホッフは、1972年からママの飼育に携わっており、40年来のママの友人です。

「これまで講義や研修トレーニングを通して多くの動物園で飼育員たちの指導に当たってきました。ママと出会ったのは、もう何年も前のことです。私が現れると、ママはいつも嬉しそうに私のもとに駆け寄り、必ず挨拶をしてくれました」 

Youtube / Jan A R A M van Hooff

ママに残された時間が残りわずかであると知ったジャンは、最後の面会に動物園を訪れました。

Youtube / Jan A R A M van Hooff

ジャンが飼育小屋に到着したとき、ママは無力に横たわっていました。ジャンはゆっくりとママに近づき、優しく体を撫でます。

ぐったりとしていたママですが、しばらくして顔を上げると、それが誰であるのかに気づきました。

ジャンの訪問を知ったママの反応は、胸を打ちます。

Youtube / Jan A R A M van Hooff

 それまでの生きる気力のない弱々しい状態から一転して、ママの目に生気が戻り、口を大きく広げ鳴き声を上げて喜びを表現したのです。

Youtube / Jan A R A M van Hooff

ママは感極まった様子で大好きな旧友を愛おしげに見つめ、髪を撫で続けました。

感動の再会の様子はこちらの動画からも視聴できます(オランダ語音声のみ)。残された力で精一杯ジャンに抱きつくママの姿からも決して忘れることのなかったジャンとの友情と、再会の感激が伝わってきます。

そして、これが二人にとって最後の再会となりました。ジャンの訪問から間もない2016年4月5日、ママはその生涯を閉じました。

Youtube / Jan A R A M van Hooff

最後に大好きなジャンに会うことができて良かったですね。チンパンジーがいかに愛情深い動物であるかということがよく伝わるママのエピソードです。

プレビュー画像: ©︎Youtube / Jan A R A M van Hooff

死期の迫った高齢チンパンジーを訪れたのは、かつての飼育員。再会時の反応に目頭が熱くなる。死期の迫った高齢チンパンジーを訪れたのは、かつての飼育員。再会時の反応に目頭が熱くなる。