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考えさせられる

先生のミスを笑った生徒たちはその理由を聞いて静まりかえった

伝え方の上手い人って、話した内容を相手に「自分ごと」として受け止めてもらうのが上手ですよね。シンプルな話でも、自分ごととして受け止めてもらえれば、聞いた人の考え方をガラッと変えてしまうことがあります。

この記事では、ある教師の小さなミスが生徒たちに気づきを与えたエピソードをご紹介しましょう。

ある日、先生が黒板に次のように書きました。

1×9 = 9
2×9 = 18
3×9 = 27
4×9 = 36
5×9 = 45
6×9 = 54
7×9 = 63
8×9 = 72
9×9 = 81
10×9 = 91

最初に静かな笑い声が聞こえ、数人が顔を見合わせて笑い、最後にクラス全体がゲラゲラと笑いはじめます。なぜでしょう?そう、先生が明らかに計算を間違えていたからです。

10×9 = 91!? これが間違いだということは子どもたちでも容易に気がつきます。

先生はみんなが静かになるまで待ってから言いました。

「笑ってください。理由はわかっています。実は私は皆さんにあることを伝えたくて、わざと間違えたんです。

私は10問中9問正解して、間違えたのは1問だけ。みなさんは10問中9問正解した私を褒める代わりに、私の1問のミスを笑っています。それはとても悲しいことですが、私たちが暮らしている社会を映し出しています。

Lehrerin vor der Klasse
©Pixabay/14995841

私たちは間違いで人を評価する文化の中で生きているんです。そのため、人はひとつ間違えただけで傷つき、時には辱めを受けることさえあります。

でも、それがあるべき姿なのでしょうか?いいえ、違います。

私たちは小さなミスを指摘することよりも、その人の功績を褒めることを学ぶべきなのです。ほとんどの人は間違えることより正しいことの方がはるかに多いのです。それなのに、わずかなミスで判断されてしまうのは変だと思いませんか?

その人が自分の間違いに気づいているのであれば、もう批判はしなくていいのです。そうではなく、その人の良いところに目を向けて、褒めましょう。そうすることで、より多くのものが生まれます。思いやりは増し、憎しみは減るのです。どうぞ考えてみてください」

その後、教室は静寂に包まれます。子どもたちの多くが、今、聞いた話を家庭でも話しました。何人かは、そのとき学んだことが九九の掛け算よりもはるかに重要であることに気がついたそうです。

©Media Partisans

あえて間違えることで相手の感情を引き出し、その感情の背景を説明することで、生徒たちの視野を広げた先生、素晴らしいですね。

そして、この先生の話は私たちの誰もが心に留めるべきこと。

褒めることで「挑戦意欲」や「自信」、「相手への信頼」、「場の居心地の良さ」が増すという調査結果も出ています。相手の良い面を見てあげることはとても大切なんです。たとえ誰かに改善点を伝えるときでも、まずはポジティブなフィードバックから始めてみませんか?

プレビュー画像: ©Media Partisans