ネットでネタにされ、容姿を笑われた女性がコメントを投稿

インターネットには、おそらく数万を超える「インターネット・ミーム」が絶えず存在し、人から人へとシェアされては、拡散されています。 「ミーム」とは、文化の中で人から人へと拡がっていく行動・コンセプト・メディアのことを指し、文字や文章、画像、その組み合わせ、動画やリンクなどの形をとる、いわゆる「おもしろネタ」もその一つです。早いサイクルで定期的に現れ、流行ってその後定着するものもあれば、すぐに忘れ去られていくものもあります。
インターネット・ミームは一見差し障りのない、罪の無いものにも思えますが、許可無しに画像がネタに使われてしまっている人々がいるのも事実です。不本意な形で自分の画像が一人歩きしていることに、その人やその人の周りの人々は恐らく笑っていないでしょう。
テキサス州に住む25歳のリジー・ベラスケスも、自分の映った動画や画像をネットで見つけた被害者の1人です。
リジーは世界で3人しかいないという稀な病気を抱え、そのため幼い頃に老化が始まり、体重が増えず、右目も失明しています。リジーは容姿についてこれまでひどい誹謗中傷を受けてきた経験があり、高校時代には自分が映った動画が「世界一醜い女性」というタイトルでネットに投稿されているのを発見したこともあります。しかしリジーは、周囲からの残酷な中傷を自分を前進させるためのバネにして作家になる夢をかなえ、アメリカ全土を渡りながらTV出演やネットいじめについて講演を行う活動を続けています。リジーの「自分の価値を決めるのは自分」というメッセージは、これまで多くの心を動かしてきました。
そして先日、リジーはFacebookで拡散されていたミームにまたしても自分の写真が使われているのを発見します。画像にはこんな言葉が書き込まれていました。
「マイケルに、この木の後ろで楽しいことをしようって言われたの。でもどうやら遅れているみたい。誰か彼をタグ付けして、私が待っているって伝えてくれない?」
許可なしにネタに使われた自分の画像が笑いの対象になっていることについて、リジーは639,000人のファンを抱える自身のInstagramにコメントを投稿することにしました。
「これに似たミームを最近Facebookでたくさん見かけた。被害者としてではなく、声を持つ者としてこの文章を書いている。今はすでに真夜中だけど、ネット上でこのようなミームの被害者になっている罪のない人たちも同じように起きて、Facebookを眺めながら、ひどい気持ちを抱えていることを忘れないで欲しい。見かけが違っても、身体のサイズが違っても、結局私たちは同じ人間。誰か知らない人が使われているミームを見かけたら、そのことを思い出して欲しい。その瞬間はネタが面白いと思うかもしれない。だけど、写真の中の人はその逆の気持ちだろうと思う。人を傷つけるような言葉ではなく、愛を拡散しましょう。リジーより。」
投稿は、Instagaramの彼女のファンを通じて「マイケル」のミーム画像を圧倒する勢いでFacebook、Instagramで拡散されました。結果、元のミームを作成したベージがその後Facebookによって閉鎖されることになりました。
この反応にはリジー本人も驚き、後日、彼女はお礼のメッセージをInstagramに投稿しています。その中でリジーは、「シェアする前に考えて、いいね!する前に考えて」と、改めてネットで中傷の対象になっている人々の気持ちを考えて欲しいと呼びかけていました。
周囲からの誹謗中傷に打ちのめされることなく、弱い立場にいる人々の代弁者としてメッセージを発信し続けるリジーの強さに、多くの人が励ませされ、勇気づけられています。
普段、深く考えずにシェアしているかもしれない「おもしろネタ」。それによって深刻に傷つけられている人がいることについて、私たちは思いを巡らせて気をつける必要があります。シェアすること自体に悪意はなくとも、知らないうちに誰かを傷つけているかもしれないのです。