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ジーンとくる話

X線写真が、犬の体内に撃ち込まれていたものを明らかにした。飼い主は大きなショックを受ける。

英国バーナム在住のリズ・ハスラムは犬の保護に献身的に取り組む動物愛護家であり、その活動を天職だと思っています。リズは活動家としての経験を通じ、一定の犬種に対する根強い偏見が、犬たちが引き取り先に出会うことへの障害となってしまうことを十分過ぎるほどに理解していました。こうした理由から、特に偏見を持たれ誤解されがちな犬種・ブルテリアに対しては特別な思い入れがありました。

2015年上旬、リズはトルコGökovaの動物保護団体から連絡を受けました。保護団体のメンバーが酷い虐待を受けたブルテリアを発見したのです。失明しており、耳もほぼ聞こえない状態でした。ブルテリアの顔は誰かに執拗に撃たれたであろう、ペイントボールガンのペイントまみれでした。さらに顔の傷からは、犬が違法の闘犬に使われていたことが考えられました。もし発見されなければ、この衰弱した体ではそう長くは生きながらえなかったことでしょう。

エリックと名付けられたブルテリアの写真を一目見るなり、リズはエリックを何としてもイギリスに呼び寄せなければいけないと決心しました。エリックが第二のチャンスを掴むための支えになりたいと強く願ったのです。ブルテリアは闘犬種として生まれた歴史を持ち、強靭な肉体を有し、噛む力も強く、すでに成犬になっている犬を里親になろうとする人はなかなかいないそうです。

エリックの渡英はそう簡単なものではありませんでした。犬の単身でのフライトチケットは3,000ドル(2017年2月現在、約34万円)以上もしました。

しかしついにフライトの手配は整い、エリックは無事に新しい住処となるバーナムに到着しました。Gökovaの保護団体チームが傷の手当てを適切に処置したこともあり、写真以上に元気そうな姿でした。とは言え、まだまだすべきことは山積みでした。

ペイントボールガンのペイント弾がエリックの顔にある複数の傷の奥深くに残っていると考えられ、さらに一見嚢胞のように見えたものも、実際には深刻な外傷であったことが判明します。獣医の早急な処置が必要でした。

動物病院での獣医の診断は、長年にわたり虐待を受けた動物の世話に慣れているリズですら震撼させるものでした。X線写真により、恐るべき事実が判明しました。散弾状のペイント弾は未だにエリックの顔全体に深く埋め込まれていたのです。エリックの頭の右脇の嚢胞のように見えたものはすべて、ペイント弾だったのです。ただちに治療しなければ、深刻な感染症を起こしてしまう危険がありました。

エリックはペイントボール射撃を50回発以上も受け、そのほとんどはまだ体内に留まっていました。失明の原因もそのためでした。トルコでの路上生活を送っていたエリックの悲惨な過去はリズの想像を超えるものでした。

「虐待した人間に殺されていた可能性もありました。また、不衛生な路上で負傷したままの生活で敗血症などで命を落としたとしても不思議ではありませんでした。エリックのこれまでの人生を考えるだけで胸が痛くなります。でも泣いている場合ではありませんでした」

リズは自身の団体「bedsforbullies」を通して治療費の資金集めに奔走しました。手術でペイント弾全てを除去するための費用5,000ドル(2017年2月現在、約56万円)、高額な治療費を達成するのは時間がかかるかと懸念されました。

しかし、幸運にも親切な支援者のおかげですぐに十分な資金が集まり、エリックは必要な手術を早急に受けることができました。

「保護した犬たちは私の生きがいです。この子たちのためなら何だってできます。この活動を続けるためにもこれまでに資金面などで人々の支援に支えられてきました。支援金は全て保護された動物のために使われます。支援者が直接、担当の獣医に寄付していただければ寄付金が確実に治療費として使われていると、クリアな資金の行き先の証明にもなるので助かります」

幸運にもエリックは今後高額な治療の必要もないほど元気に、他に保護された犬仲間とともに幸せな新生活を送っています。穏やかな暮らしを手に入れたエリックの現在の姿は、ブルテリアも他の犬種同様にキュートで愛情深いペットになり得ることを証明しています。

献身的に面倒を見てくれる人々のおかげでエリックは悲惨な運命から救われました。エリックが末長く幸せであること、そしてリズや保護団体、その他支援者達によって今後も多くの動物達が救われることを願っています。