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保守的なベルギー王室 しかし王子が見惚れたのは遠い中国からやってきた垢抜けぬ女性だった

「白馬に乗った王子様が、私を迎えに来てくれたら…」

子供の頃、誰もがこんなことを夢想したかもしれません。しかし現実は厳しく、夢のような王子様と出会い、永遠に幸せに暮らす…そんなおとぎ話、あるはずもないと多くの人は悟ります。

しかし今回紹介する中国の女性は、そんな夢物語のヒロインと呼ぶにふさわしい人物かもしれません。

その女性の名前は、李然(リー・ラン)。1984年、広東省五華県の農村部に生まれた彼女は、幼い頃こそ普通の少女でしたが、成長するにつれて、その非凡な頭脳を開花させるようになっていきました。

ほとんど全てのテストでクラス1位の成績を取っていたため、リー・ランのクラスメイトはこんなことを言っていたといいます。

「たとえリー・ランが小説を読みながら授業を受けても、1位を取ることができるだろう…」

さらにリー・ランの才能は、学業だけにとどまりませんでした。幼い頃からピアノを嗜み、絵を描いたり、書道の才能にも長けていました。

努力家だったリー・ランは、日夜一生懸命に勉強しました。成長したリー・ランは、中国の名門・北京言語大学に合格すると、生まれ育った地を離れます。そして、熱心に勉学に励み続けた甲斐あって、大学在学中に、フランスのパリ大学院から合格通知を掴み取るのです。これが、リー・ランの運命が動き始めた瞬間でした。

憧れのフランスの地を踏んだリー・ラン。しかし当然ながら、学費と生活費は途方もない額でした。自分の力で何とかしなければと思ったリー・ランは、勉強しながら仕事を始めたのです。スケジュールはとてもタイトでしたが、この選択が、彼女の人生を永遠に変えるのです。

高級ファッションブランドのパリ店に勤務していたリー・ラン、そこにお客さんとして訪れたハンサムなベルギー人男性が、リー・ランの知的な雰囲気や、スラッとした容貌に、一目で恋に落ちてしまったのです。そしていつしか、2人は恋愛関係に発展します。

びっくりするくらいロマンチックな出会いを果たした2人。しかし、このハンサムなベルギー人男性は、ただの男性ではありませんでした。

その名も、シャルル・ジョゼフ・マルコルム・ド・リーニュ…正真正銘の、ベルギーのプリンスだったのです!

もともと中国文化に造詣が深く、関心を寄せていたシャルル王子ですが、リー・ランの心と、努力する姿にはすっかり夢中になってしまった。この女性と結婚すると、王子は固く心に誓っていました。しかしそこには、いくつもの障害があったのです。

王子は子供の頃からパリで生まれ育ちました。彼はまた、由緒正しき貴族の血を引いたベルギーの王室貴族。

一方でリー・ランは、頭脳明晰とは言え、貴族から見れば、中国の農村出身の娘でしかなかったのです。

周囲から猛反発を受けたシャルル王子でしたが、その意思は決して変わることはありませんでした。王子の目に宿る強い意志を感じ取った父親は、当初は反対していましたが、息子の意志を受け入れ、サポートすることにしました。

2人は2010年1月に婚約を発表、そして同年11月に晴れてゴールインしました。

中国メディアは、「欧州初の中国人プリンセス誕生!」「まるでシンデレラ!」と賑やかに報じましたが、一方で、欧州の反応は冷ややかなものでした。

2人は、互いの宗教や文化が異なっていることを理由に、結婚式は行わず、ひっそり役所に婚姻届を出すのみでした。

表向きこそ、「文化の違い」が原因でしたが、しかしそこからは、家族や親戚からの拒否反応の強さや、ベルギー国民からの反発の強さがうかがいしれます。

そう、王室に「異質」なものが入り込むことへの風当たりは、決して生やさしいものではありません。それが外国人であれば、なおのことです。

事実、シャルル王子の義姉のイザベル妃のインスタグラムには、リー・ランが登場したことは一度たりともありません。

 
 
 
 
 
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Une publication partagée par Isabella Orsini de Ligne (@isabellaorsinideligne)

リー・ラン妃とシャルル王子の間には、2012年に長男アマデオ・ジョゼフ・ガブリエル王子が誕生しています。

シャルル王子はリーニュ公爵家分家の次男だったため、王位の継承権という視点では比較的気楽な立場です。2019年に、シャルル王子の兄のエドゥアール王子とイザベル妃の間に男児アントワーヌ・タウ・エドゥアール・アドリアン王子が誕生したため、継承権は全てそちらに移っています。

強い愛で結ばれたリー・ラン妃とシャルル王子。しかしその生活は、いたって地味です。社交界に姿を現すことも滅多になく、メディアからの取材も一切断り続けていると言います。

Facebookアカウントや、ウェイボー(中国版Twitterのようなもの)のアカウントも削除。

2013年には、一家でベルギーから中国の上海に移住し、リー・ラン妃は、高級ファッションブランドの中国市場セールスマネジャーとして仕事を続けながら、子育てにも奮闘しているそうです。

そこには、子供のためにもゴシップを避け、静かに暮らしたいという2人の願いが見て取れます。今日も世界のどこかで、リー・ラン妃とシャルル王子は愛する子供と一緒にささやかな幸せを噛み締めていることでしょう。

いかがでしたか?

まるで夢のようなシンデレラストーリー。しかし、リー・ラン妃は白馬に乗った王子様に出会ったのでしょうか?確かに出会った男性が偶然王子だったのは本当です。しかし、王子に出会うまでも、そして出会った後も…リー・ランが不屈の努力を続け、困難を乗り越え続け、幸せを掴み取ったようにも見えます。

日本の皇室や英国王室のあり方が大きく揺れている今。「愛はどんな障害も乗り越える」と少し信じてみたくなるような、現実にあったおとぎ話なのです。

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プレビュー画像:  / © Twitter/ SoundofHopeSOH

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