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ジーンとくる話

【原因は地球温暖化?】海岸に150頭を超えるウミガメが漂着、なかには150kgを超える巨大なアカウミガメも

米国マサチューセッツ州ケープコッドの海岸では、近年、コールドスタン(海水温が急に下がったためにショックで気絶状態になること)により海岸に打ち上げられるウミガメが増えています。漂着するウミガメの多くは、ケープコッド湾から暖かい海に向かって泳ぐ途中で海水温が低下し、ショック状態に陥った若い個体です。

2020年11月には、わずか3日間で150匹もの若いウミガメが打ち上げられました。そのなかで、特に注目されたのが、希少な巨大ウミガメ「アカウミガメ」の成体でした。

アカウミガメが発見されたのは、トゥルーロ市の海岸。発見されたとき、ウミガメはすでにショック状態で呼吸がほとんどできていませんでした。

巨大ガメはすぐに毛布に包まれ、近くのニューイングランド水族館のカメ専門病院タートル・ホスピタルに運ばれました。この巨大なカメの体重はなんと150kg以上、年齢は30歳を超えていました。

水族館の医師たちは、カメの健康状態を安定させるためにあらゆる手を尽くしましたが、治療の甲斐なくカメは数日後には死亡しました。

剖検の結果、このカメは発見されるずっと以前から病気にかかっていたことがわかりました。医師によると、肺炎やいくつかの臓器の異常が認められたそうです。

以下の動画には、医療チームの救助活動の様子が撮影されています。

アカウミガメをはじめとして、ウミガメの多くは極めて深刻な絶滅の危機に瀕しています。残念ながら、主な原因は人の活動です。ウミガメは現在は狩猟の対象ではありませんが、魚やエビの漁の網にひっかかってしまうことが多いのです。また、ケープコッドでみられるように、コールドスタンにより海岸に打ち上げられるカメの数も増えています。原因と考えられるのは地球温暖化。温暖化による気候変動で局地的に極端な寒波が発生しているのです。

ニューイングランド水族館の医療チームは、海岸に漂着したカメを温め、治療し、できる限り海に戻せるように献身的な活動を行なっています。この巨大なアカウミガメも、医療チームの懸命の治療を受けましたが、残念な結果になってしまいました。孤独な死ではなかったことがせめてもの救いです。天国では暖かい海で泳げていますように。

プレビュー画像: ©Facebook/New England Aquarium