ちえとくをフォローする

トリビア

井戸の中からなぜうめき声が聞こえるのか、近所の人たちにはわからなかった。10日後、彼らはその中から信じられないものを引き上げる。

2017年2月、トルコ・イスタンブール市内のベイコズ地区にある消防署に、近くのデレセキ地区に住む住民から一本の通報が入りました。聞けば、夜明け前ごろの時間に町の井戸の前を通りかかった通行人が井戸の中からすすり泣くような声を聞き、中を覗いてみると、そこには何かが窮屈そうにうごめいている様子が見て取れたというのです。

しかし、通報を受けてただちに現場に急行した消防隊員たちがそこで目にしたものは、想像をはるかに超える光景でした。その井戸はおよそ70メートルという深さがありながら、幅は30センチほどしかないという非常に細長い構造をしていたのです。

井戸の底で泣き声をあげているものを確認できたとき、消防隊員はさらに衝撃を受けます。なんとそれは生後数ヶ月ほどの小さな子犬だったのです。

井戸の底で飲まず食わずの状態が続けば子犬の体力が持たないだろうと考えたレスキュー隊員たちは、まず、ロープに水とエサを括り付けて井戸へと降ろしました。次にロープの先を輪っか状に縛り、子犬を引っかけて引き上げようと試みますが、これは失敗に終わります。その後も様々な方法を試しながら悪戦苦闘しましたが、なかなか子犬を救出することができません。

 

救出作業が始まってから10日が過ぎたとき、彼らの元に新たな希望の光が届けられます。この救助活動の話を聞いたバハチェシェヒル科学技術専門学校の関係者から、学校で開発したロボットアームを使用した新たな救出プランが提案されたのです。

ロボットアームの操作に四苦八苦したレスキュー隊員たちでしたが、この試みが見事成功します。2月15日午前5時45分、子犬はついに井戸の底から助け出されたのです。子犬が引き出された瞬間、大歓声が沸き上がりました。

隊員たちはこの子犬を、トルコ語で「井戸」という意味の「クユ」と名付けました。子犬はひどく衰弱した状態でしたが、獣医の元で治療を受けて元気を取り戻したそうです。

運良く助け出されたクユはその後、消防署で飼われることになりました。大家族に見守られながら、すくすくと育っています。

もしクユの鳴き声に気づいた人がいなかったら、この子の命は暗い井戸の底で尽きてしまっていたかもしれません。多くの人が集まり、一丸となって協力した結果、心温まる結果が待っていました。そういう意味でもクユは強運の持ち主だったといえるでしょう。

現在クユは消防署のマスコット的存在として、地域の住人からたっぷり愛情をもらいながら幸せに暮らしているそうです。これこそまさにハッピーエンド、ですね!

なお、このエピソードについてまとめ動画はこちらです。救出が成功した瞬間の大歓声は、0:43〜から聴くことができます。