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えらい

43歳の母がウイルスでこの世を去り 長男が4人の妹弟の保護者となる

2020年、コロナウイルスにより世界中で5千万人以上が感染、すでに130万人もの命が失われました。日本もコロナ新規感染者が急激に増加し、この冬到来するといわれる第三波への対策に追われています。世界で最も感染者数が多いアメリカでは、これまでに1千万人以上が感染、現在も1日に1000人以上が命を落としています。

そんなアメリカのコロナ禍で、大切な人を失い絶望に打ちひしがれる数えきれない多くの人の1人が、カリフォルニア州パームダールに暮らす19歳のホアン・マルティネスです。

ホアンの母ブレンダはホアンを含め6人の子どもを育てるシングルマザーでした。今年8月、ブレンダがコロナウイルス検査を受けると結果は陽性。ブレンダと長男のホアンは典型的なコロナウイルスの症状を見せましたが、幸いにも幼い子どもたちは無症状でした。

しかしもともと糖尿病を治療していたブレンダの容体は急速に悪化していきます。テスト結果が出てから数日後、自力で呼吸ができなくなり病院に搬送されます。この時点で肺と腎臓の機能がほとんど失われていました。一週間後、6人の子どもを残しブレンダは帰らぬ人となります。

悲しみに暮れる一家でしたが、一家の大黒柱で子どもたちのすべてを支えていた母の死を、子どもたちは受け入れねばなりませんでした。そして症状がようやく回復した長男ホアンには悲しむ時間さえありませんでした。自分自身と、そして妹弟たちの生活を支えなくてはならないのです。

一番末の弟は父親が引き取ることに。残された7歳、8歳、9歳、15歳の4人の妹弟の生活を長男のホアンが親として面倒を見ることになりました。

ただでさえ仕事の機会が減っている今、どうやって生活を成り立たせていくのか。政府からの支援を待っている時間はありません。困難に面した時、ホアンが世界で一番頼りにしていた唯一の人はもうこの世にいないのです。

そんなホアンが助けを求めたのは、インターネットでした。GoFundMeというインターネット寄付サイトで、自分たちの置かれた状況を説明し、助けを求めたのです。

Twitter/Oswaldo Borraez

投稿してから間も無く、寄付が集まり始めます。アメリカ国内に限らず、ホアンの投稿を目にした世界中の人々から支援が寄せられました。これまでに集まった寄付額はなんと約13万ドル(約1300万円)!見ず知らずの人たちからの善意にホアンは感激しています。

ホアンはまた、コロナ禍での無責任な行動を繰り返す人々にこう告げています。「ウイルスは嘘なんかじゃない。人混みではマスクをつけて、周囲の人との距離を保って!こういう基本的なルールを守れない人を見ると傷つきます。こういう無責任な行動をする人たちが、周囲の人たちを危険にさらしているのです」

Twitter/Oswaldo Borraez

母を失い周囲に誰も頼りにできる人がいなくても、絶望することなく、インターネットに助けを求めたホアン。素直に助けを求めれば、世の中にはきっと手を差し伸べてくれる人がいる。そんな希望を抱かせてくれるホアンのストーリーです。

マルティネス家への寄付サイトはこちらからご覧下さい。

プレビュー画像: ©Facebook/JuanJose Martinez ©Facebook/Jim Fussell