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すごい人たち

スケート史に残る日本選手と韓国選手の友情

2022年2月13日に行われた、北京オリンピックのスピードスケート女子500メートル。

そこには、メダルを期待されつつも、惜しくも17位に終わった日本の選手がいました。小平奈緒選手です。

小平選手は、前回の平昌大会の金メダリスト。それだけに、多くの日本人がその滑りを固唾を飲んで見守っていました。

しかし誰よりも感情移入してそれを見守る、ある女性の姿が解説席にはあったのです。

その女性は韓国の、李相花(イ・サンファ)さんです。

イ・サンファさんは小平選手の滑りを見届けると、感情が込み上げたかのように、涙ぐんだのです。一体、どうしてでしょう?

実はそこには、2人の間の国籍を超えた友情があったのです。

実はイ・サンファさんは、平昌大会のスピードスケートの銀メダリスト。2018年に、母国の大韓民国で行われた平昌オリンピックでは、「氷速女帝」と呼ばれ国民から多くの期待をかけられていました。

国民の期待を背負って死力を振り絞ったものの、直前に小平選手がマークしていた五輪新記録にはわずか及ばず…日本のライバルに、惜しくも敗れ去ったのです。

しかし…その直後に起こったことは、「スケート史上もっとも美しい光景」として、ファンの間では鮮明に記憶されています。

Twitter/hiro100p

悔し涙を流すイ・サンファ選手にそっと寄り添い、抱き締めたのは…ライバルであり、死闘を繰り広げていた小平奈緒選手だったのです。

「プレッシャーは相当なものだったと思う。私は、サンファをリスペクトします…」

小平選手はそんな言葉をメディアに語っています。

この光景は、国を超えた友情、お互いを励まし合う美しいアスリートの姿として、日韓両ファンの記憶に強く残る出来事となったのです。

それから4年の時が経ちました。

イ・サンファさんは2019年に選手を引退することを表明。一方小平選手は現役選手としてまだ活躍しています。しかし、小平選手とイ・サンファさんの間にある友情は決して変わることがないということは、イ・サンファさんが流した涙を見れば明らかです。

高いレベルのスポーツの競い合いを見ることはオリンピックの醍醐味です。

けれども、こうした国境を超えて励ましあい、喜楽を共にする姿を見られるのも、オリンピックならではのものかもしれません。胸が熱くなってしまいました。

プレビュー画像: ©Twitter/hiro100p