レスキュー
路上で見つけた割れた卵の中からのぞく黄色いくちばしがそっと動いた。3年後の姿を見て!
それは2014年のことでした。その日街を歩いていたスーザン・ヒックマンは、道端に何かが転がっているのに気が付きました。一見鳥の卵のようでしたが、殻は割れています。スーザンが拾い上げて中を覗きこむと、そこになんと小さな頭と黄色いくちばしがあったのです。
Renaissance Duck Egg Rescue Team has been activated. pic.twitter.com/GtyVvdqPYh
— Walter Donald (@WaltDiggityDo) April 5, 2013
スーザンが見つけたのは、ホシムクドリという鳥の卵でした。何らかの理由で巣からここまで運ばれてきたようですが、殻が割れているにもかかわらず、中のヒナはこの時まだ生きていたのです。急いで獣医の元に運び込んだスーザンでしたが、医師の意見は「まだ小さすぎる。恐らくすぐに死んでしまうだろう」というものでした。ヒナはまだ目も開いておらず、綿毛のようなものが多少ある以外は羽もまだ生えそろっていません。しかしスーザンは、あきらめずにこのヒナの面倒を見ることにしたのです。
彼女はこのヒナにクリンガーという名前を付けました。はじめの2週間は、スーザンはクリンガーに対し、昼夜を問わず20分おきにエサをあげ続けなければならなかったそうです。大変な作業ではありましたが、スーザンには自分がこのか弱いクリンガーを助けられるという自信のようなものがあったといいます。クリンガーにとってスーザンが唯一の希望であることを、彼女自身理解していたのです。
はじめスーザンは、クリンガーがある程度まで成長したら野生に帰してあげるつもりだったといいます。しかし、クリンガーは生まれてから一度も自分の本当の母親に会ったことはなく、いわゆる「刷り込み」という過程を経ていません。つまり、クリンガーは自分が鳥であるという事実を理解していないのです。この状態では当然ながら、野生に帰ったところで生きていくこともできないわけです。
幸いなことに、スーザンが生活する地域ではホシムクドリをペットとして飼うこと自体は違法ではないということで、スーザンはクリンガーをこのまま家に置き続けることにしたそうです。小さいヒナだったクリンガーも今ではすっかり成長し、かつての面影は全くと言っていいほどなくなってしまいました。驚くべき変化ですよね!
クリンガーとスーザンの物語については、こちらの動画でも観ることができます。
まさにお似合いのカップル?ですね!ちなみに、もし路上でひなを見つけても安易に持ち帰るなどして保護しないようにと日本野鳥の会は呼びかけています。詳しくは日本野鳥の会のウェブサイトをご覧ください。
プレビュー画像:©︎YouTube/Suan Hickman
