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【またやった!】絵画の修復をスペインのプロに頼んだ しかし返って来たそのあまりの出来栄えに切なくて涙がこぼれた

皆さんは覚えているでしょうか?2012年スペインで、教会にあるエリアス・ガルシア・マルティネスのフレスコ画「この人を見よ」の修復が行われ、あまりにもひどい出来栄えになってしまった事件のことを。

修復にあたったのは、当時80歳のセシリア・ヒメネスさんで、特に修復のトレーニング等は積んでいませんでした。この絵画は、「こんなキリストあるか」とSNSなどで話題になり、皮肉にも観光客が殺到し、マグカップなどのグッズも発売されるなどちょっとしたブームを巻き起こしてしまいました。

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そんな前科モノ、絵画修復における不名誉を返上したいスペインですが、2020年、またしてもやらかしてしまった模様。その絵画がTwitterなどで話題を呼んでいます。

実際にそのツイートをご覧ください!

Twitter@livedoornews

何でちょっとモディリアーニ風になってるの?!😅

今回の修復の餌食になってしまったのは、バロック期の画家であるバルトロメ・エステバン・ムリーリョの作品「The Immaculate Conception of Los Venerables」の複製画。持ち主は、家具修理業者に約15万円ほど支払って、修復を依頼したそう。

しかし、修復された聖母マリアは、本来の姿とは似ても似つかないものでした(画像右上)。怒った依頼主は、さらなる修正を依頼。すると状態はさらに悪化して(画像右下)返ってきたそうです。

いや、もうこれ、修復というか出来の悪い塗り絵ですよね…?

このように、スペインでは、まったくその資格を持たない人でも修復に当たれてしまうという構造的な問題が指摘されており、スペイン国内の知識人たちは、スペインの文化遺産を守るため、より厳しい規制が必要であると主張しているようです。

修復にあたったスキルのない人材を責めることは建設的ではないかもしれません。素晴らしい文化を持ちながらも、2012年にはスペイン経済危機が襲うなど、お金の面ではやや苦戦しているスペインだけに、修復というところまで十分にお金が回っていないのが実情なのかもしれません。前述の通り、構造の問題があるのです。

また、絵画修復というニッチな分野には人材が集まりづらく、後継者を育成しづらいのでしょう。この問題は、日本の伝統工芸界にも当てはまり、決してスペインに限った課題ではないと言えます。

文化的な遺産は継承していかなければ、その文化が途切れてしまいます。機械ではできない伝統的な手仕事を引継ぎ、次世代につないでいく担い手を育成することが、スペインに限らず私たちにとっても重要な課題なのかもしれません。

プレビュー画像: / © Twitter/ livedoornews