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ジーンとくる話

獣医師が語る「最も辛いこと」とは?

愛するペットが重い病気や怪我で苦しんでおり、治る見込みがないときに選択肢にあがるのが「安楽死」。それは飼い主にとって本当に辛い選択です。でも、点滴で栄養や薬を投与して生かしたことで、かえって苦しみを長引かせてしまったという罪悪感で後悔する例もあり、とても難しくデリケートな問題です。

安楽死という悲痛な作業は、通常、獣医師が行います。獣医師はこの仕事をどのように捉えているのでしょうか。海外投稿サイトImgurで、ある獣医師がこの話題を取り上げています。

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「私は獣医の資格を取得して3年になります。動物を安楽死させるとき、飼い主さんからよく『獣医として一番辛い仕事でしょう』と言われます。そんなことはありません。ほとんどの場合、それほど悲しくもないのです。

もちろん、家族の一員を失った飼い主さんの悲しみは大きく、必要であれば寄り添い、話をしたりします。でも私は動物の苦しみを長引かせずに、終わらせることができるのは獣医師の大切な仕事だと考えています。動物が限界を迎えるまで苦しむのを見るのは、はるかに腹立たしいことです。私は悪い獣医なのでしょうか?そうでないことを祈ります。

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「気になる方のために補足しますと、私が獣医として辛いのは以下の3つです。

1)ペットを救うことができる治療法や診断法があるのに、飼い主がそれを支払う余裕がないことを知ったときは本当に辛いです。可哀想な飼い主とペットに心を痛めることしかできず、もっと何かできることはないかといつも思います。

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2)毎日のように治療や診断にかかる費用について怒鳴られるのは、精神的にとても疲れます。私が値段を決めているわけではないし、仮に決めていたとしても、診療所を運営するには莫大な費用がかかるので、治療費でカバーしているということを理解してほしいと思います。多くの人は純血種や特別な交配種を買うのにブリーダーに数千ポンド(数十万円)を喜んで支払いますが、健康診断とワクチンのコースに70ポンド(約1万円)を支払うことに苦情を言うのです。

3) 人々が獣医よりもSNSの情報を信頼しているときも失望します。インフルエンサーが発する『このノミ取り首輪やワクチンはあなたの犬を殺す』の一言に比べると、私の5年間の医学教育は価値がないと思われているようです」

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安楽死というのは難しい問題です。獣医師によっても考え方は違うでしょう。ただ飼い主も獣医師も動物たちが幸せでいてほしいと願う気持ちは同じです。そして、獣医師は飼い主の理解と信頼を何よりも求めていることがこの投稿からもわかります。

日本では飼い主が治療費や選択肢について事前に獣医師に尋ねたり、安楽死について触れることが他の国に比べて少ないと言われています。でもペットは大切な家族。信頼できる獣医師を見つけ、日頃から話しにくい事柄も相談していくことが大切ではないでしょうか。

プレビュー画像: ©flickr/Simon Law