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【恐ろしい実話】誘拐され、イギリスで奴隷にされた16歳の少年
誘拐した人を奴隷として売買し、拘束して強制的に働かせる。そんな恐ろしい犯罪は、私たちの社会では起こりえない?いいえ、私たちが安全だと信じきっている街で、実際にそのような非道なことが行われています。
現実は残酷です。自分が豊かになるためなら、なんの躊躇もなく他人を苦しめることができる人々がおり、そのような人々にとって人身売買は非常に実入りの良いビジネスなのです。特に恐ろしいのは、若者、そして子どもが、誘拐や人身取引の被害にもっとも遭いやすいという点です。
さらに、誘拐された被害者の多くは、たとえ拘束から逃れたとしても、言葉も話せず、彼らの苦しみに目を向けてくれる人もいない国に一人残されるのです。
ベトナムでは年間何百人ものティーンエイジャーが誘拐され、人身売買でイギリスに連れてこられています。その一人が、当時まだ16歳だった少年ミンです。
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— Janey (@jjmmcr) July 27, 2019
イギリスでは国内の大麻(マリファナ)の需要を満たすため、国中いたるところで非合法に大麻が栽培されています。大麻の栽培に従事する労働者は建物から出ることさえできません。労働者を外に出せば、すぐに非合法ビジネスが明るみにでてしまうからです。そのため多くの大麻は非常に危険な状況で栽培されています。
ミンは当時こうしたことを一切知りませんでした。友人たちに誘われ、南ベトナムの小さな故郷からホーチミンにやってきたミンは、後になって、その友人たちが犯罪者であることを知ります。彼らはミンを見知らぬ男たちの家に連れていきました。男たちはミンに、イギリスで給料のよい仕事を得たくないかと尋ねましたが、ミンは彼らを信用せず、立ち去ろうとしました。
しかし、逃げることはできませんでした。ミンは、男たちに捕えられ、奥の部屋に引きずりこまれ、監禁されました。そして殴る蹴るの暴行や性的虐待を受けたといいます。拷問は何日も続き、傷つき混乱したミンは、男たちが2万ポンド(22,000ユーロ弱)の借用書を提示したときにも抵抗しませんでした。彼らはミンに約束手形に署名させ、もし借金を返さなければ両親を傷つけると脅しました。
The Life of a #Cannabis #Farmer: Trafficked, Beaten, Enslaved
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— Canna News (@CannaNewsBuzz) January 31, 2018
誘拐犯は秘密のルートや辺境路を通って、イギリスに被害者を連れて行きます。ミンは、他のベトナムの若者とともに家畜のように輸送され、頻繁に殴られ、食事も十分に与えられず、何度も性的虐待を受けました。到着した所には知り合いもおらず、言葉も分からず、彼は怯えきっていました。しかも、犯罪者たちに多額の負債を負っていました。
ミンはチェスターフィールドの郊外の一軒家に閉じ込められました。一見、空き家のように見えるその建物で、大麻が栽培されていました。水や肥料を与え、収穫するのがミンの仕事です。時折、監視役の男たちがやってきて、冷凍肉を投げ捨てて行きました。ミンは電子レンジでその肉を解凍して食べるしかありません。ドアにはいつも鍵がかけられ、窓も閉めきられており、ミンは暗く汚れた建物のなか、たった一人で過ごしました。
Trafficked and enslaved: the teenagers tending UK cannabis farms https://t.co/jvC0Pk8h7q Cop quoted says legalisation would end the slavery. pic.twitter.com/mQWsxEtfLv
— TransformDrugPolicy (@TransformDrugs) March 27, 2017
大麻の状態が悪くなると厳しく罰せられるため、毎日バケツに何倍もの水を運んでは注ぎ、土壌に化学肥料を与えました。肥料や大麻の匂いに気分が悪くなり、食べ物はあまりにも少なく、常に飢死の恐怖と背中合わせでした。
#Police uncover £25,000 cannabis farm in village raid https://t.co/i1qxmUNaEO pic.twitter.com/d4UQ1APXES
— CAMBRIDGESHIRE (@DailyCAMBRIDGE) July 31, 2019
ある日、ミンは窓から逃亡を図りました。しかし、逃げ切れず、男たちに捕まってしまいました。彼らはミンを家に引き戻し、性器をナイフで傷をつけ、皮膚の下にチップを埋め込んだから、もう逃げることはできないと伝えました。
それから数ヵ月後の2013年10月、明け方まだ暗いなか突然警察が家のドアから入ってきました。警察は大麻農場を発見し、そこに怯えきったベトナム人のティーンエイジャーを見つけたのです。しかし、ミンの苦難はそこで終わったわけではありませんでした。
#News| UK police criticised for failure to help enslaved cannabis farmers https://t.co/BpqGIOuHNl pic.twitter.com/4OBBbHgYDA
— European News (@Euro_Newsweek) March 26, 2017
大麻農場で奴隷になったティーンエイジャーたちは、強制労働であるにもかかわらず、イギリスでは犯罪者として扱われます。警察は、被害者のトラウマや孤立に対処する訓練を十分に受けておらず、人身売買に気づかないことも少なくありません。
ミンは逮捕され、再び投獄され、警察はベトナムへの強制送還をちらつかせ、彼を脅しました。ベトナムに戻れば、誘拐犯が再び彼を見つけて拘束する恐れがあります。奴隷制や人身売買の被害者である若者のほとんどは、イギリス当局によって送還されると再び同じ危険にさらされ、加害者の報復を受けるといいます。ミンは長い苦闘の末、現在は法的支援を受けており、弁護士の助けを借りて、少なくともこの運命からの脱却を望んでいます。
「私にできるのは希望を持つことだけです。私の人生のスタートは決してよいものではなかったけれど、そこにとどまっている必要はないのですから」
残酷な運命に翻弄されたミン。現在22歳になる彼の言葉は私たちの胸に重く響きます。
※この記事はガーディアン紙が詳しく報じた記事(英語)の抜粋版です。
