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「アジア人にドレッドヘアはふさわしくない」と大御所からお叱りを受けた台湾系NBA選手 しかしウィットに富んだ返しに拍手を送りたくなる
現在アメリカで、アフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドさんが白人警官に不当に拘束され命を落とした事件が発端となり、人種差別撤廃を訴える運動が加熱しています。一連の運動はBlack Lives Matter(黒人の命を守れ)と呼ばれています。
しかし当然のことながら、人種間の対立は、白人と黒人の構図だけではなく、より複雑です。世界には、実に多様な人種が存在しているのですから。
今回紹介するのは、2017年あるアジア系バスケットボール選手に降りかかったエピソード。
Folks mad at Jeremy Lin and his dreads need to do some research.
Asian culture has a deep history with locs. I think he looks dope @JLin7 pic.twitter.com/yDlQ7Umseh— K.L.Gray (@KishonnaGray) July 10, 2018
ジェレミー・リン選手は、台湾系アメリカ人のバスケットボール選手。台湾系アメリカ人としては歴史上で初めてNBA(アメリカ男子プロバスケットボールリーグ)選手となった人物です。ちなみに体格面でやや劣るアジア系選手にとって、NBAはまさに狭き門。たとえば、未だにNBAでプレーしたことのある日本人は2人だけなのですから、その壁の高さがうかがえます。
そんなリン選手は髪型をよく変えることで知られており、(おそらく、マイノリティで埋もれがちなアジア系としても存在感を出していくためのパフォーマンス的な側面もあるでしょう)2017年の時点ではドレッドヘアでプレーをしていました。そんなリン選手の姿を見て、ある大御所選手が、苦言を呈したのです。
その選手は、ケニオン・マーティン選手。元NBAオールスターの選手で、まさにレジェンドと呼ぶにふさわしい人物。さらにリン選手にとっては、所属チーム(ブルックリン・ネッツ)の先輩でもありました。そのマーティン選手が、自身のTwitterで、「おいおい、俺はあの坊やに、名字が『リン』だってことを思い出させてあげなきゃいけないのかい?黒人に憧れる気持ちは分かる。けどお前の名字は、リンなんだよ」と言った内容の投稿をしたのです。つまり、アジア人にドレッドヘアはふさわしくない、ということでしょう。
それに呼応する形で、リン選手がTwitterに投稿したポストがカッコいいと話題を呼んだのです。
実際にリン選手のツイートをご覧ください!
Lin’s response: pic.twitter.com/Pwon82Bjzx
— Anthony Puccio (@APOOCH) October 5, 2017
「やぁ。あなたが僕の髪型を気にいるかどうかは実際のところあんまり問題じゃないんだ。けど、そういう意見を言ってくれてありがとう。僕はドレッドヘアにしてるし、あなたは中国語のタトゥーを入れてるよね?それってお互いの文化に対するリスペクトでもあると思うんだ。マイノリティ同士として、お互いのカルチャーをリスペクトすればするほど、マジョリティの在り方を変えていけると思っている。最後に、僕はあなたのポスターを壁に貼って育ったし、チーム(ブルックリン・ネッツ)に対してしてくれた貢献に本当に感謝しているよ」
リン選手は、マーティン選手が腕に中国語のタトゥーを入れていることを指摘した上で、冷静に反論したのです。
Oh and by the way… Kenyon Martin has tattoos of Chinese characters on his arm. pic.twitter.com/88lQ0SRo3S
— Anthony Puccio (@APOOCH) October 5, 2017
攻撃的になるわけでもなく、実に説得力のある持論を展開したリン選手に、Twitterの人々は賞賛を送りました。「完璧なアンサーだ!」「お互いに対するリスペクトが重要だと学べたよ」「これぞハーバードクオリティ」(リン選手はハーバード大出身)などと言ったコメントが寄せられています。
いかがでしたか?このように、人種間の闘争は後を絶ちませんが、重要なのは、リン選手のように感情的にならず、相手へのリスペクトの気持ちを忘れずに言いたいことを伝えていく力なのではないでしょうか。日本人の私たちからしても、お手本になるようなツイートでした。
プレビュー画像: / © Twitter/KishonnaGray
