えらい
日本に来たイスラム教徒は石焼き芋の移動販売に驚きを隠せないと言う その理由を聞いた時思わず食べていた焼き芋が手から滑り落ちた
最近ではあまり見かけなくなりましたが、昔は季節がくるとよく見かけていた石焼き芋の移動販売。さつまいもの季節の秋頃から冬にかけ、じっくりと焼かれたホクホクの焼き芋は、心も体も温めてくれる存在です。
心をほっこりさせてくれるおもしろ動画集はこちらからお楽しみいただけます。(記事の続きはスクロールしてご覧ください)
今でも、ふと「いーしやーきいもー、焼き芋ー♪」と言う独特のリズムの音楽を耳にするとなんだか懐かしい気分になりますよね。
#自由が丘 #石焼き芋 #焼き芋屋さん
自由が丘の焼き芋屋さん、いつもいい匂いが堪らない🍠💖 https://t.co/pvTMQCTyGB pic.twitter.com/6R6CV9HqKQ— ピースアンドハイライト🧹 (@peaceandhiLight) March 4, 2021
でも、この石焼き芋の移動販売の音楽を耳にして、懐かしさを覚えると言う人が日本人以外にもいたのです。
イスラム教徒の人が日本に留学に来て最初、夕方の石焼き芋をお祈りの歌だと思って敬虔な気持ちで聴いてたって話マジ好き。
確かにジブチで朝昼晩街中で流れてたお祈り放送と周波数同じだわ。— 遠すぎたT元伍長 (@veteran203324) February 28, 2021
「イスラム教徒の人が日本に留学に来て最初、夕方の石焼き芋をお祈りの歌だと思って敬虔な気持ちで聴いてた」
なんと、初めて日本に来たイスラム圏の人々は、「いーしやーきいもー」のリズムに、日課のお祈りの歌を思い出し、懐かしく神聖な気持ちになるのだそう。中には、日本でもイスラム教のお祈りがされている!?なんて勘違いをしたという人も。
私の友人のエジプト出身の人も、同じこと言ってました。石焼き芋~♪を聞いて、お祈りの時間?日本でもお祈りする人いるんだって思ったと。 https://t.co/SNXHgeCYBN
— こゆきまる (@koyukimaru1) March 1, 2021
日本に来たイスラム圏の人々を驚かせる石焼き芋のリズムですが、これはイスラム教の一日5回の礼拝(サラート)を知らせる集合の呼びかけである「アザーン」と言うものに似ているのだそう。(以下より、アザーンのリズムを聞くことができます)
また、イスラム圏の人だけでなく日本人の中にも現地を訪問した際にそのリズムを耳にして同様に感じていた人もいるようです。
イスラム圏に行くと日没の祈りの時間ぐらいに聞こえてくるあれがやけに懐かしい感じがしてたんだけど、そういうことだったのか…。/イスラム教徒が日本に来て最初、石焼き芋をお祈りの歌だと思って敬虔な気持ちで聴いていた「朝昼晩街中で流れてたお祈り放送と周波数同じ」 https://t.co/wu7yKwJupe pic.twitter.com/VxWgMTZeNP
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) March 2, 2021
わたしもトルコに行った時に朝のお祈りの放送が石焼き芋の声だと思ったから、国は違えど考えることは皆同じで安心した。 https://t.co/6V8V9izIJ1
— ぐろん (@gron26) March 1, 2021
逆に中東初めて行った時アザーン聞いてこの国は朝っぱらから焼き芋売ってんのか…?って思った https://t.co/CtfHkrBKWv
— なまうつぢつぢ公爵🦩💕 (@unpleasance) March 1, 2021
さらには、日本音響研究所所長で、声紋鑑定・音響分析の専門家である鈴木創@日本音響研究さん(@suzuki_onkyo)が、それを証明するかのように双方の音源の波形、周波数を比較。双方が似ていることが明らかになりました。
イスラム圏の方々が日本に来て石焼き芋屋さんのトラックから流れる「いーしやーきーいもー」を聴くとお祈りだと思って敬虔な気持ちで聴いているという投稿をお友達の@Mak0Nakamura さんから教えていただき、確かに似てるかもと思ってYouTubeの音源を確認してみました。※以下コメ欄に続きます。 https://t.co/fYsyAWChZE
— 鈴木創@日本音響研究所 (@suzuki_onkyo) March 4, 2021
石焼き芋もお祈りも、その発声者によって差はあるもののある程度の共通点が見えてきました。
その代表的な音源の波形がコレです。
一連の節が20秒前後であること、ベースになる音量と節回しにより大きくなる部分の音量差が約10dBほどであること、特に「あ」の母音で最大音量が出ていること。 pic.twitter.com/7W354yRD4a— 鈴木創@日本音響研究所 (@suzuki_onkyo) March 4, 2021
次に周波数分析をしてみました。
特に大きく響いてきている部分を白線で上書きしてみました。
するとほぼ似たような周波数帯の音によりメロディを奏でていることがわかりました。
またこぶしのようなアクセントの付け方もかなり似てます。 pic.twitter.com/h8IWP0PyfQ— 鈴木創@日本音響研究所 (@suzuki_onkyo) March 4, 2021
メロディだけでなく、こぶしの利かせ方まで類似しているとのこと。さらに鈴木さんは、「広い範囲へッセージを届ける」という石焼き芋とお祈りの知らせに共通する目的によって、双方が類似する結果になったという興味深い点も考察されています。
街の雑踏という騒音下において一方は移動販売の周知、もう一方はお祈りの言葉の周知と、内容はかなり違ってもなるべく広い範囲へメッセージを届けるという目的として似たような発声になっていることはとても興味深いものです。
— 鈴木創@日本音響研究所 (@suzuki_onkyo) March 4, 2021
騒音下においては単位時間あたりの情報量を少なくして正確にテキスト情報を伝えるため、百貨店の店内アナウンスや防災無線などゆっくりとした口調のものが多く見られます。
焼き芋もお祈りも長く伸ばすのはその必要があったためにこのように進化したのではないかと思います。— 鈴木創@日本音響研究所 (@suzuki_onkyo) March 4, 2021
ちなみに、この石焼き芋のリズムですが、日本に留学にきたばかりの台湾人留学生にとっても念仏のように聞こえたそうです。日本語か理解できるようになった今となっては、それが石焼き芋だったとわかり、想像と現実のギャップにショックを受けたそうです。
台湾にはないので新鮮な体験でした。(続く) pic.twitter.com/8tidxXFwLj
— Kyo Kai (@kai_chiawei) February 27, 2021
言葉も文化も違うのに、不思議な共通点を持つ日本の石焼き芋とイスラム圏のアザーン。イスラム圏の方が敬虔な気持ちで石焼き芋の音楽に耳を傾けている姿を想像すると、ちょっとほっこりします。異文化への興味や理解は、こんな日常の何気ない瞬間から生まれるのかもしれませんね。
プレビュー画像:©︎Twitter/peaceandhiLight
