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69年連れ添った夫婦は、隣同士で一緒に最期を迎えた。差し出されたままの父親の手を見て、子供たちは涙を流した。

アイザックとテレサ・ヴァットキンの夫婦の物語は、「真実の愛」とは何か、改めて考えさせてくれます。

1926年にウルグアイで生を受けたアイザックは、成人を迎えた頃に親戚の暮らすアルゼンチンに移り住みました。テレサは、アルゼンチン南西の港町マル・デル・プラタの出身。二人はそこで、1945年に出会いました。出会ってから2年後に、ふたりは永遠の愛を誓います。

アイザックとテレサの結婚生活は幸せに満ちたものでした。3人の子宝に恵まれた後、1968年に一家はアメリカのシカゴへ移住します。当時42歳だったアイザックは英語を学びながら、友人とともに立ち上げた小さな食堂を切り盛りしながら家族を養いました。

「両親は大きな家に住むこともなく、贅沢することもありませんでした。すべてを、私たちの教育費にあててくれたのです」子供たちは言います。

やがて年月は過ぎ、80歳になったテレサにアルツハイマー病の症状が現れ始めます。アイザックは食事や風呂など、認知症の進行していくテレサの身の回りの世話をしながら、希望を決して失うこと無く妻のための治療法を探し続けていたそうです。今まで触ったこともなかったコンピューターを使ってインターネットでの情報集めにも励みました。

しかしやがては高齢の両親を見かねた子供たちに説得され、アイザックはテレサを介護施設に入所させることを承諾します。夫婦になって初めて離ればなれの生活を始めたふたりでしたが、施設で暮らすテレサの元をアイザックが訪れない日はありませんでした。

91歳になったアイザックは、あるときインフルエンザに倒れます。同じとき、肺炎を発症していたテレサの容態も悪化してました。ふたりは同じ病院に運ばれます。ふたりが同じ病室で隣同士で寝れるよう、子供たちが手配しました。アイザックとテレサはベッドから手を取り合い、それを最期のときまで離すことはありませんでした。

その後、アイザックが横で眠る中、テレサは一度だけ目を開けて子供たちを確認するように部屋を見回した後、安らかに亡くなりました。テレサの遺体が部屋から運び出されたとき、アイザックは握っていた妻の手が離れていくのに気づき目を覚ましたものの、すぐに意識を失います。40分後、アイザックは妻の後を追うようにして息を引き取りました。

大切な誰かと同時に人生を全うするのは、奇跡的なことです。本当に深く愛し合っていた夫婦なら、そんな驚くべきことも起こせてしまうのかもしれません。69年間、毎日を共にしてきた夫婦の深い紲を感じる、美しいエピソードですね。